・75 ページ19
大して道も混んでないのに
「はぁ、なんでこんなに車おんねん」とか
少し長い赤信号で止まっただけで
「チッ、渋滞しとるんか」とか
とにかく不機嫌な彼
バックミラーで表情を確認しようとすると、鏡越しに目が合って
「何やねんっ」
「なんか…怒ってる？」
「別に怒る事なんてないやろが」
「…うん」
って、怒ってるでしょ？なんなの 一体！
こっちもちょっとイラつきながら車の外を眺めると、住宅街から高いビルが建ち並ぶ人通りの多い道を走っていた
自然とシートに体を沈ませ、小さくなっていると
「自分、何してるん？」
「外から…見えないようにって」
「フッ、その窓 外から見えへんから」
いまっ、鼻で笑った？私がどれだけ緊張してこの車に乗ってるか、この人やっぱりわかってない！
あぁ、そうですか。じゃあガン見だよ。窓に張り付いて外 ガン見してやるよ！
…と思ったのに、カシャンと音を立てて地下に滑り込む車
どこっ、ここ。キョロキョロしているとドアが開いて
「着いた。降りんで」
また手首を引かれてエレベーターの中。それを降りれば一枚のドアがあって、ノックもせずにガチャリと開けて
「どーもー、お疲れさんです〜」
デスクに座る人達に挨拶をしつつ、ズンズン奥へと進んでいく
パッと手を離されて、フゥッとひと息吐いてからその扉をノックする彼
“どうぞ”
中から聞こえた男性の声に反応して
「失礼しますぅ〜」
部屋に入る彼の後に続いて
「失礼します」
訳もわからず、部屋に足を踏み入れた
窓際に立つ男性に
「お忙しいところ すみません。 社長」
「…………！！」
えぇっ？いや いやっ えっ？
ちょっと待って。何で私 かの有名な、あの社長さんとご対面してるの？
驚きのあまり、開いた口が塞がらないでいると、村上さんが話を続ける
「実は 僕、こちらの女性と結婚を前提にお付き合いしたいと思っとるんです」
「はぁっ！？」
思わず声をあげてしまった
この人は………バカ なのか？
そんな内緒にしておかなきゃいけない様な事、よくも堂々と言えるものだ……
これでもう………
一緒にいられなくなっちゃう じゃない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちか
| 作成日時：2015年12月12日 8時
