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「お〜い」
さっきの頭を撫でられて動揺した自分を殴ってやりたい
「そこの2人、聞こえてる〜？」
給食が始まって30分。カレーの日は、この時間には全員が完食しているはずなのに
「えぇ〜、そうなの？」
「せやで〜、前の保育園でもな A先生…」
2人のしんちゃんはお喋りに夢中
……ってか、私の失敗談で盛り上がるの ヤメてほしい
大笑いする2人に
「もぉっ、何分かかって食べてるの？食器 片付けるよ？」
食器の入ったケースを持って部屋を出ようとしたら
「先生、ごめんなさいっ！」
「もぅ終わるから、ちょい 待ってっ！」
慌ててカレーをかきこむ2人
はぁ、大きな子どもが1人増えただけじゃないかっ
遊んでる時も帰りの準備をしている時も、常に村上さんの周りには子ども達がいて
「信ちゃん、また来てね」
「今度は、私とも遊んでね」
ここでも彼は人気者
そう。この人のファンは数え切れない程いるんだった
私もその中の1人で…
子ども達がいなくなった部屋
2人でいると、そんな事 忘れてしまいそうになる
「ん？どないしたん？」
「ううん、何でもないっ。私 行かなくちゃ」
14時までは各クラスでの活動
その後は、お迎えの時間に合わせて決められた部屋で過ごす子ども達
もちろん14時で帰る子もいるわけで…
今日は、帰る子ども達を門で見送る当番
2人でいる室内が息苦しくなって外に飛び出すと
「A先生っ」
隣のクラスの先生に呼び止められた
「私、今日 見送り当番代わるよ」
「えぇっ、でも…」
「いいって。先生 最近出勤時間 不定期だったでしょ？園長先生が早く帰ってゆっくりしなさい。だって」
「すみません。じゃあ私、使ってない部屋 掃除しときますね」
「ありがと〜、助かるっ。じゃ、また明日」
「はい、お疲れ様でした」
部屋に戻るとピアノの前に座る 村上さん
「弾きますか？」
「いや、勝手に出て行ってまうし、どないしよう思っただけやから」
「ははっ、ごめんなさい。今日は部屋の掃除をしたら終わりになりました」
「えっ、帰れるっちゅうこと？」
「はい…」
「ほしたら、はよ掃除せな」
「いやいや、私やるから村上さん座ってて」
「それはアカン。俺 保育士見習いやし」
2人でやった方が早いやろ。と言いながら片手にほうき、もう片方を腰に当てて立つ姿に思わず笑みがこぼれた
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作者名：ちか
| 作成日時：2015年12月12日 8時
