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休憩も終わり、携帯を持って立ち上がると手に感じる振動
少しの期待を胸にディスプレイを見ると、村上さんのアドレスで
“A先生…やんな？”
その書き出しに、慌ててさっき送ったメールを読みなおすと、自分の名前を入れていなかった事に気付いた
“ごめんなさい”と急いで送り返したメール
返事……きちゃった
少しは期待していたけれど、本当に返信がくるなんて
ちょっと 嬉しい………かも
その日から、不定期だけど村上さんからメールがくるようになった
“今日、ライブで失敗してもぉたっ！” とか
“昼飯 まだ食われへん。腹 減ったぁ” とか
必要最低限の言葉で綴られた、報告みたいなメール
村上さんらしいな。って思う
たまに写真が添付されてくるけど
“今日の 昼飯”って、お弁当の写真とか
“夜は 焼肉”って、やけに高そうなお肉の写真とかで
最初のメール以来、私からメールする事はなくて、彼のメールに返信するだけの日々
だけど
今日は、私から送ってみようかな？
テレビの中で、メンバーさん達とカウントダウンする彼の姿を見ながら
近所のお寺から聞こえる、除夜の鐘の音を聞きながら
長針と短針が時計の真上で重なったと同時にメールを送信
“明けまして おめでとうございます
今年に入って最初のメールがA先生で、嬉しかったです
今年も よろしくお願いします”
彼からメールがきたのは、その日の夕方だった
元日は、毎年恒例の親戚への挨拶回りの為、実家に帰る
「あら Aちゃん。一段と綺麗になったんじゃない？」
なんて お世辞や
「こんな可愛らしい子、ほっとくなんて世の男達も見る目ないわねぇ」
なんて 嫌味っぽい褒め言葉も
毎年言われれば慣れてくるもので
“アハハハ”と、笑顔でかわせるようになる
「ただいまぁ〜」
窓際にあるポインセチアに声をかけて、ベッドの上にドサリと寝転がる
最近は実家のベッドよりこっちの方が寝心地が良くて、実家に一泊だけして一人暮らしの部屋に戻ってきてしまった
そのままウトウトしていると、鞄の中から聞こえる着信音
一向に鳴り止む気配のないそれを手に取り
「もしもし？」
電話に出ると
「もしもし A？久しぶりぃ〜」
高校時代の同級生からだった
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作者名：ちか
| 作成日時：2015年10月24日 7時
