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ピンっと張った緊張の糸が切れて、そのままずるずると廊下の壁に寄りかかる。
思い出すのは綺麗に左目から一筋の涙を流した凛とした彼女の顔。
樹くんのキモチなんて見えてたのに見なかったのは私。
まっすぐなキモチに答えるには、彼女みたいなまっすぐなキモチでなくちゃダメなんだ。
「おーい。」
「…。」
「無視すんなー。」
「のぞき見なんて悪趣味。」
「まーまー。
今にも出て行きそうだったの堪えたんだ許せ。」
「それはありがとうございます。助かりました。」
「ふは。なんかあれな。難しいな。」
「難しいよ。なにこれ。本当に嫌だ。」
「お前、向き合うタイミング何度も逃してるよ。」
「知ってる。」
「あいつの最初の告白受け止めなかったお前の罰だ。今のは。」
「うん。」
「忠犬ハチ公だってなしんどいぞ。」
「わかってるよ。」
「待つだけの恋をする男の身にもなってやれ。」
ちらっと安井を見ると赤いユニフォーム姿で練習を抜けて来たみたいだった。
「なんでここにいんの？」
「あー美術部の岩橋。
あれ神宮寺の親友らしくてさ。」
「玄樹くんか。」
「南先輩が後輩ともめてるって言いに来てくれたわけ。」
「そっか。」
「さっきの子、好きなんだろうな。」
「うん。」
「でもさ樹の気持ちなんて樹にしかわからないんだから。」
「そうだよね。」
「続けるも続けないも樹の自由。
それと同じ、Aが自分の気持ちを伝えるも伝えないも。」
そういってこっちを向く安井は優しい顔をしていた。
「焦って間違ったらもうそれこそ終わりだぞっと。」
そう言って勢いをつけて立ち上がるのを見て一緒に立ち上がる。
「とりあえずさ、絵完成させろ。
あの絵出さなかったら友達辞めるからな。」
「わかった。」
「よっし！じゃあ俺練習戻るからなー。」
廊下を駆け抜けてった安井に背中が見えなくなって美術室へ入る。
大きな絵にはあの日バックダンクを決める直前の樹くんだ。
真剣なまなざしの途中、成功が見えた瞬間の顔。
これを描けるのはきっとこの世界で私しかいないんだと言い聞かせて修正を始めた。
修正を終えたころ、ちょうど美術室のドアが開いた。
それは安田先生で“帰る時間やでー”なんて少し気の抜けた声に肩の力がふわっと抜けた。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ！この作品の樹君がすごく好きで！これからも応援してます！ (2019年2月13日 23時) (
レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい･･･！rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて･･･早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます！ (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki | 作成日時：2019年2月13日 1時
