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「ちょっとみな!大丈夫?」
「まどちゃんごめん・・・抜けるね。」
「試合終わるまで待てる?」
「壁伝いになら歩けるから大丈夫。」
「手は?」
「痛くないよ。」
「無事で良かった・・・。」
私の両手を優しくさすってから肩に腕を回して、コートの外へと出してくれた。
「試合終わったら保健室行くから!」
そう言ってまどちゃんはコートへと戻る。
私は、痛む右足を引きずりながら壁伝いに歩き体育館の扉近くまでたどりついた。
ドアに近い方のコートで試合してて良かった。
「歩けます?おんぶします?」
ドタドタと駆け寄る足音に気づき、顔をあげる。
「樹くん。」
「大丈夫っすか?」
「歩けるから大丈夫だよ。」
「でも・・・とりあえず肩貸しますね。」
“失礼しまーす”って言いながら私の腕を自分の肩に回してくれる。
「すんげー音したんすよ。」
「だってすごく痛かったもん。」
「ほっぺたにボールの跡ついてますもんね。」
「なんかやだな・・・かっこ悪すぎるね。」
「そんなことないっすよ!
っていうか・・・手は大丈夫ですか?」
「顔面で受け止めたから。」
「よかったっす…ってよくないか。」
保健室までの道のりをゆっくり歩いてくれている優しさを全身で受け止めてた。
いつも対面で会う樹くんは細くてひょろひょろしているイメージだったけど、割と力があるみたい。
もっと気付いたことは、思っているより背が高いってこと。
「失礼しまーす。」
「あら、どうしたのその顔。」
「バレーボール当たっちゃって。」
「冷やさないと、足は?」
「たぶん捻挫っす。
冷やした方がいいかもしれないです。」
「ちょっと触るね…ほんとだ。じゃあここ座って。」
樹くんの肩を借りて椅子に座ってやっと落ち着いた。
保健の先生が濡れタオルを取り出して顔を冷やすように言う。
「もう大丈夫だよ?
まだ試合あるよね?」
「じゃあ俺行きます。
先生、先輩のことよろしくお願いします。」
ぺこりって音がするんじゃないかっていうくらいお辞儀をして保健室から出て行った。
「いい後輩くんね、彼氏?」
「全然違います。」
「またまたー。」
保健室の奈津子先生はまどちゃんと同じぐらい私をからかいながら手当をしてくれた。
それにしても今日は樹くんの違う顔たくさん見れてよかったな。
氷のうを顔に当てて、湿布を張られた右足も痛いはずなのに幸せな気分になった。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時