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5分ぐらいで神山くんがたくさんのポーチをもって会議室に現れた。
黒髪で毛先が赤…実にトリッキーなヘアスタイル。
でも服装は前の方が派手だったかな、神山くんも少しずつ変わってるんだな。
やっぱり変わってないのは私だけか…でも人ってそうそう変わらないよね。
「Aさんって基礎化粧品良いの使ってます？」
「ポーラのBAシリーズ。」
「ノーファンデなわけですね。」
「日焼けだけはちょっとあれだから日焼け止めとこれ。」
「粉…エレガンスっすね、なるほど。」
地元に帰った親友はもともと美容部員。
その子がまだ東京に居た頃に、買いそろえてくれたもの。
新しいものを買うことが苦手で、ずっと同じものを使ってる。
「友達に勧められたの使ってるだけなの。」
「Aさんって趣味ないんですか？」
「んー走ることぐらいかな、自発的にしてるのは。」
「そうなんすね、なんか意外。」
「自炊してそう顔？」
「そうっすね、オーガニック好きそう。」
「なわけ、昨日の夕飯どん兵衛だよ。
昔っからこう幸薄顔で地味だから…変なギャップ生まれるの。」
「めっちゃ意外、なんか自然食品とか好きそう。」
「やからそれオーガニックな。」
「そっか、筋肉食堂とか好きそう。」
「それは初めて言われた。」
「髪の毛がグレージュ…めちゃくちゃきれいですね。」
「友達の弟さんが東京の美容室で働いてて、カットモデルしてるの。」
「なるほど…したい髪型とかないんですか？」
「めんどくさがりだから、寝る前も髪の毛ドライヤーしない日あるし。
ヘアアレンジとかそういうのは向いてないから、結んで終われる長さにしてる。」
「なんか…アレンジしがいがありますね。」
髪の毛を触って仮止めしながらふんふんって言ったり。
営業事務の子たちから借りてきたポーチからアイシャドウとかチークとかを物色。
私の肌の色を見ながら、なにやら色味をみてるみたい。
もし万が一、なにか賞もらえたら神山くんにあげようと思った。
「イメージばっちりです、明日よろしくお願いします。」
「なんかしておくべきこととかある？」
「できれば今日の夜は髪の毛乾かして寝てください。」
「はい、わかりました。」
丁寧に片づけをして、スタスタスターッと会議室から出て行った。
「…そういえば私なんの仮装するの？」
「いうわけないやん。」
そう言って右の口角だけあげて笑う藤井くんは悪魔みたいだった。
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作者名：kiki. | 作成日時：2020年10月31日 20時
