Short Story #02 (ページ10)

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薄い紫色の浴槽からはラベンダーのいい香り。
キャンドルと防水のライターが置いてあって、すごい贅沢。

使いかけのシャンプー・リンス・ボディソープとは違うちょっといいブランドのボトル。
私が欲しいなって言ってたクリスマス限定のもの。
なんか急に嬉しくなって、浴室から出てタオルを巻いてリビングに早歩き。

「うおっ！！お前なんて恰好してんだよ。」

「ねぇ！」

「なに！」

「お風呂がすごい贅沢空間になってる。」

「たまには力抜かないと、１人で居る時ぐらいさ。
　俺と一緒に居るとなんか頑張っちゃうっぽいし…。」

「そんなこと「ないって言える？」

両肩に辰哉の手が降りて来て、冷たさにびくっとなる。

「いいんだよ。別に完璧じゃなくなって。
　頑張ってるAのことも好きだけどさ俺。
　俺なんかに気ぃ遣ったっていいことないっしょ。
　できないことも嫌なことも全部遠慮なく言ってくれていいから。」

「…。」

「難しいことじゃないだろ？
　してほしいこととかさー、今日は来なくていいとかさ。
　で、最近頑張ってるからご褒美に癒しグッズ集めておいたんだ。」

「たっちゃんセレクトだぞ」って得意げな顔をしながら、目のやり場に困ってる辰哉が可愛い。

「…じゃあ、わがまま言う。」

「なになに？
　ちょっと待って、なんか緊張する。」

そわそわしながら、うーんって考え事をする彼。
疲れが吹き飛ぶってこういうことなのかも。

「たっちゃん、一緒にお風呂入ろ？」

「ふわぁ！？えっなんで！」

「なんでも、いいじゃんもう寒いよ。」

「そっそんな恰好で出てくるからでしょーほら早くお風呂入りなさい。」

「待ってるね、たっちゃん！」

どたどたと大きな音を立てて準備する彼の足音に頬が緩む夜の9時分。

ご褒美バスタイム、最後のアイテムはたっちゃんだよ！