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「やば、じいちゃんにはよもってこいって言われててん。」
「そうなん？じゃあこれな、もしなんかあったらまた持ってきてっておかんが。」
「ありがとう。」
「Aもまたな。」
「うん。」
そう言ってしげと一緒にお店を出た。
「小瀧ん家はもうちょい先のパン屋やけど。」
「今日はやめとく、しげと一緒に帰る。」
「ほんならまた連れてったるな。」
「ありがと。」
なんとなく、しげと話してたかったから帰ることにした。
特別予定はないし、クリームパン食べたいなって思ったけど。
しげを独り占めすることって本当にないなって思ったから。
これは本能がきっとそう口から飛び出たんだと思って、しげの隣を歩く。
「Aの家って神ちゃん家が一番近いやんな？」
「そう、しげの家と神ちゃん家の間ぐらいだけど神ちゃん寄りかな。」
「せやったら、土曜日は8時ぐらいに家の前に居って。」
「わかった…ねぇ、本当に行って大丈夫？」
「Aがいいなら全然。
楽しいやつらしか居らんし、夏休みのいい思い出になることは保証するで。」
「なにか持ってく物とかある？」
「んーこれといってないんよな。
上3人が高校生だった頃は、持ち寄りとかしてたんやけどな。
もう車も持ってるし、バイトみんなしとるから特にないなぁ。」
「参加費は？」
「初回無料ってことにしといたる。」
「え？」
「今年は3回ぐらい会う予定作ってんねん。」
「そうなんだ。」
「Aが楽しかったら、その後の海と2回目のBBQもおいでや。」
高校生になると学校で話す友達と、学校外で話す友達が違う。
ひじりちゃんは通学に2時間掛かるから放課後なかなか会えない。
彼女はまぁまぁお堅いおうちの子みたいで、土日会えることも少ない。
「ひじりとは遊ぶん？」
「1回だけ、神戸まで行こうって。」
「良かったやん、あいつお嬢様やからな制限されてんねんな。」
「国立大学目指してるみたいだからね。」
気を遣って仲良くしてくれてるんだろうなって思う。
しげだけじゃないけど、みんな自然に輪の中に引き込んでくれるのが上手。
ついつい自分だけ喜んで嫌な気持ちにさせてないかなってたまに思ったりする。
好きなしげと一緒に居られるのはうれしいけど、嫌われたくないなって思う自分も居る。
思春期ってなんでこんなに感情が安定しないんだろうなぁ。
自分のことなのに自分のことじゃないみたいに達観して。
本当にどうしようかな。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
