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しげのお母さんのおにぎりは結構なボリュームでまだ半分ぐらい残ってる。
神ちゃんは隣でお弁当を片付けて、そのタイミングで藤井くんがぐっと起き上がった。
「しげさー。」
「んー。」
「彼女おらんよな。」
「おらんで、興味ないもん。」
「はぁ？」
「望、嘘つかれてただけやで。」
「そうなん？」
「俺も神ちゃんも知らんとこで作ってなかったらな。」
「作ってないわ。」
「嘘つくなやー！！」
「うわお前やめろこっちくんな！」
「許したらんからなー！」
追いかけっこを見ながら、のんちゃん以外が笑ってる。
「昨日のあれわざとやんな。」
「あー相良やろ。」
「木内がしげ好きやから、やったよな。」
「えっそうなの？」
「まぁ逆効果やったけど。」
「しげ怒って謎にあのあとホース振り回してたもんな。」
「5歳児みたいに大暴れしとったな。」
「あいつほんまガキよなぁ。」
「まぁでもそれがしげのいいとこやん？」
「よくわからん。」
ちょっとだけ期待したくなる話。
ふとしげを見たら、のんちゃんがちょうど背中を押したところで水しぶきがあがる。
「お前ほんまにやめろや！」
「しげがうそついたからやろ。」
「神ちゃんと流星も同罪やん！」
「・・・確かに。」
「「確かにちゃうわ！！」」
ふたりものんちゃんから逃げる。
私はそれを見ながら、おにぎり半分をラップに包みなおしてそれを見る。
逃げ足ってやっぱり早いよねぇ、なんて思ってると目の前にYシャツが見える。
「・・・なに？」
「暑いやんな？」
「暑くないけど・・・えっちょっと待って、やだ。」
「Aちゃんも地味にさっき俺裏切ったからなぁ。」
「ずるい！ずるい！」
ひょいっと肩に担がれて、抵抗むなしく頭から放り投げられた。
「小瀧、そいつ泳がれへんねんて。」
そんな声が聞こえて、立てると思ったら足がつかない。
腰あたりに腕が巻き付いて、ぐーっと体が浮上する。
水面に出てすぐ手で水をぬぐうと、しげの顔が近くにあった。
「大丈夫か？」
「しげ？」
「あいつほんまに・・・また濡れてもうたやん。」
「ごめん。」
「小瀧のせいや、あいつほんまめっちゃ落としたる。」
私をちゃんと抱えながら、足がつくところまで連れてってくれる。
「足つけるか？」
「うん。」
「あがらん方がええよな。」
「タンクトップ着てる。」
「なら平気やな。」
水の中に居るのに体中がアツくて仕方なかった。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
