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「なぁなぁ、しげの彼女？」
「え？」
掃除道具を待ってる間、プールサイドに座ってると肩をツンツンされた。
小瀧くんって呼ばれる1年生を巻き込んだこと思い出す。
「小瀧くん？」
「そう、のんちゃんでええよ！」
「のんちゃん･･･なんでのんちゃん？」
「名前が望やから、で･･･しげの彼女？」
「ではないです･･･なんで？」
「どれが彼女かなぁって思って、女の子の顔見てたら一番かわいかったから。」
「そんっ･･･「標準語や！転入生か！」
そう言ってさっきツンツンした場所をバシバシ叩いてきた。
大型犬なのに小型犬みたいな･･･コロコロ表情の変わる忙しい子だなぁ。
「しげの彼女知らん？」
「知らないよ。」
「そうやんなぁ。」
「神ちゃんとか藤井くんに聞いたら？」
「しげが口止めしてるんか教えてくれへんねん。」
「ふーん。」
「もしかして口止め仲間？」
「全然、あっちの女の子たちに聞いてみたら？」
「集団で居るだけで怖いのに、女の先輩なんてめっちゃ怖いやん。」
「私も先輩だよ？」
「ひとりやったらいけた！
えっ？俺人見知りやのに、直ったんかな？」
「わかんないけど･･･。」
「名前は？」
「AA。」
「じゃあAちゃんね。」
「先輩つけてよ。」
「えーいややー仲よさそうに見えるやん！」
「仲良いの？私たち。」
「これからなるの！っていうか体育着は？」
「忘れちゃった。」
「えージャージ貸す？」
「ううん、大丈夫だよ。」
隣に大きな体で体育座りをして、5人の女の子を吟味してる。
彼女たちはクラスカースト上位で、あの3人の誰かが好きで掃除に立候補したらしい。
クラスで仲良くしてくれてるひじりちゃんがそう言ってた。
『目、つけられたら面倒くさいから気をつけやー。』
そんなこと言ってたけど、誰が好きなのかなぁ。
隣に居るのんちゃんと同じように膝の上に顔を乗せながらこっそり吟味する。
好きな人が居るからっていうか彼氏が居るのかな。
「なんか、あれやね。」
「んー？」
「掃除めんどくさいよなぁ。」
「うん･･･小瀧くんなんで来たの？」
「しげに呼ばれたから。」
「それだけ？」
「うん、流星も神ちゃんも一緒やでって言うてたし。」
「うん。」
「俺の彼女も居るでーって言うから来た。」
「釣られただけじゃない？」
「え？そうなん？」
「声おっき。」
立ち上がったのんちゃんで私に影が出来て、水位の下がった水面を風が撫でた。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
