Short Story #02 (ページ29)

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いろんなことを器用にこなす廉からは想像がつかなかった。

「人と話すのだるい日もあるやん、ニコニコ笑いたくない日やって。
　無理するのやめたら学校めちゃくちゃ楽しくなったんよな。
　一緒に楽しく過ごしたいやつにどうやって声かけようかばっかり考えとった。」

「ながつ？」

「お前や、あほ。」

「私？」

「同じクラスに居っても、声が聞こえん日があるやつなんてお前くらいやってさ。
　どんな声してんねやろうって思ったり、どんな字書くんやろうって思ったり。
　気づけばAのことめちゃくちゃ気になってしまって、不覚過ぎるわ。」

「廉？」

「ずっと好きやったんよ、Aのこと。」

「嘘だぁ！」

「嘘ちゃうし、なんでこの後に及んで嘘つくねん！あほ！」

「あほあほ言わないでよ！」

「お前はいっつも風磨先生にまとわりついとってさ。
　俺が見たことない顔、風磨先生には見せててめっちゃ羨ましかった。」

少女漫画から出てきたような二次元イケメンの廉。
恋愛に興味のない私ですらかっこいいなって思う程のビジュアル。
サッカー部のキャプテンで、テストの点数も1位から数えた方が早いところに名前がある。

「風磨先生居らんようになるやん？」

「うん。」

「Aには俺しか居らんくなる。」

「･･･そうかもしれないね。」

「離任するって聞いて寂しいけど嬉しかってんな。」

「ひどい。」

「何がひどいねん！お前のがよっぽどひどいわ！」

「･･･別に風磨先生のこと好きだったわけじゃないし。」

「はぁ？」

「大人として、先生として大好きだっただけ。
　風磨先生には彼女居るし、そもそも私もそういう対象で見てないし。」

「･･･っ最悪！」

1人でキレてしゃがむ廉がなんか可愛くて近寄る。