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背中にAちゃんをおぶって帰った。
おばさんには転んだって嘘をついて、事なきを得た。
“龍斗くんにおんぶされてくるなんていつぶりかしら”って。
そんな言葉に2人で笑って、背中に感じる振動に愛しさがこぼれる。
ローファーを脱いで、そのまま階段をあがってAちゃんの部屋。
ドアを開けて真っ白なベッドにそっとAちゃんを降ろす。
「さくちゃんありがと。」
「ううん、とりあえず傷どうにかした方がいいね。」
「そこに救急箱ある。」
「どれ？」
「その机の上にある。」
近くにあるってことは頻度が高いってことのあらわれだ。
カバンから水を取り出して、ゴミ箱の上で傷を洗う。
顔をしかめるAちゃんにごめんねって言いながら消毒をする。
「両膝に絆創膏なんてほんといつぶりだろう。」
「小さい頃は2人してよく怪我したよね。」
「懐かしいね。」
「痛いところ本当にもうない？」
「うん、ありがともう大丈夫。」
根本の解決って言葉を思い出して、話を切り出すことを決めた。
「別れられる？」
「さっき捨てられたから、きっともう別れてる。」
「でもちゃんと言った方がいいと思う。」
「1人じゃ怖いよ･･･もう怖い。」
「俺と一緒に行こうよ。」
「さくちゃんと？」
「うん、俺が一緒なら怖くないでしょ？」
「怖くないと思う。」
「もしなんかされそうになったら絶対に守る。」
「守ってくれるの？」
「絶対に守る。」
「じゃあお願いしてもいい？」
「その代わり、嫌なことは絶対に嫌って言うこと。」
「うん。」
「あとご飯たくさん食べること。」
「がんばる･･･。」
「なんでこんなに細くなったの。」
「なんか太ったねってすぐ言われてたから。」
「じゃあもうその心配もないね、そんなこと絶対に言わせない。」
「ふふ。」
「なに？」
「さくちゃんかっこいいなぁって思った。」
「え？」
「今の顔は全然かっこよくなかったけど。」
「なんでよ。」
ちょっと変な顔をしてみると笑うAちゃん。
ずっとずっと笑っててほしい、だって大好きだから。
ずっとずっと守っていきたい、大事だから。
「さくちゃんはヒーローだね。」
「そんなにかっこいい？」
「うん、超が足りないくらいかっこいいよ！」
「じゃあ超いいより上だね。」
「そうだね。」
少しずつでいい、今は君のヒーローになれたから。
いつか君の彼氏になれるようにまた近づけるように頑張るよ、Aちゃん。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
