Short Story #02 (ページ23)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:40,528 hit

※ ページ23

+++

Aちゃんのことを好きだって思ったのは幼稚園の頃。
節分の行事で逃げ惑う彼女を守りたいって思った時。
父さんにその話をしたら好きなんだよって教えてもらった。

それからもう何年か考えるのもつらいくらい。
一緒にいる時間に、何度かAちゃんの彼氏が現れる。
中学の頃付き合ってた優斗先輩はよかったのになぁなんて。

すっかり俺は彼女の恋をただ一番近くで応援するだけの幼馴染になった。
このポジションが似合ってると思う反面、踏み出せない自分を情けなく思う。

「さくちゃん、浮所が呼んでるよー。」

「今行くー。」

廊下に出ると、1つ上の浮所が居てがりさんと話してる。

「ちょっといい？」

「俺だけ？」

「うん！」

「ちょっと行ってくる。」

「5時間目理科室移動だから教科書勝手にもってっとくわ。」

「ありがとう。」

昼休み、浮所がクラスに来ることが珍しい。
学年が変わって初めてのことで何の用事かなって思いながらついてく。

「非常階段でいい？」

「いいけど、なんかあったの？」

「あのさ…Aちゃんの彼氏。」

「ああ。」

「すっごい乱暴じゃない？」

「うーん…見た感じはね。」

「いや俺さ、さっき食堂行く途中中庭で2人見かけたの。
　そしたら結構な力で突き飛ばしててさ。」

「マジで？」

「さすがにあれはって思ったから、つい声かけちゃって。」

「Aちゃんは大丈夫そうだった？」

「完全にひざから血出てたけど、大丈夫って言い張って。」

「マジか…。」

「那須から聞いたけど、すぐに手を挙げるみたいで。」

「嘘だろ？」

「前に付き合ってた子、那須と塾一緒だったらしいんだけど。
　なんか塾の帰りに那須と話してるところに出くわして、髪の毛引っ張られてたって。」

「はぁ？なにそれ。」

「でさ…Aちゃんはさくちゃんの大事な幼馴染でしょ？
　どうにか彼女から聞き出して助けてあげられないかなぁって思って。」

「今日の夜にでも少し話してみようかな。」

「俺も那須も見つけたら極力気にしておくけど、根本解決にはならないから。」

「わかった…ありがとう教えてくれて。」

「全然！またがりさんとか誘って遊びにでも行こうよ。」

「わかった。」

「受験始まる前にたくさんあそぼーね！」

「おう。」

予鈴がなって、お互い次の授業へと向かう。
すると中庭から帰ってきたAちゃんを見かけた。

膝には絆創膏が貼ってあって、すごい苦しくなった。