17 君のヒーローになりたい / Ryuto.S ページ22
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幼馴染って“幼い頃に親しくしていた友達を言う”らしい。
それだったらAと俺は立派な幼馴染。
産まれた日こそ違うけど、同じ病院で生まれて家は隣同士。
保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校まで一緒。
もう立派すぎるほどの幼馴染だと思う。
「おはよ、さくちゃん。」
「おはようAちゃん。」
呼び方は幼稚園の頃からずっと一緒。
龍斗って名前がうまく言えない彼女は悔しそうに泣いたことがあった。
次の日彼女は「さくちゃんだったらいえるからさくちゃんにしたい。」と。
これは俺たちだけが知ってる事実で、秘密。
がりさんに幼馴染なのに名前で呼んでないんだねって言われてもなんとも思わなかった。
家から30分かけて歩く通学路。
俺たちはこの時間を“仲良しタイム”として中学生の頃から大事にしてる。
「さくちゃん、好きな子できた？」
「んーできてない！」
「そっか。」
「Aちゃんは？」
「いいなぁっていう人は何人かいる。」
「何人もいるの？」
「好きとかじゃなくっていいなぁーだよ。」
「例えば？」
「うーん…卒業した瑞稀先輩とか涼先輩とか。」
「全然違うじゃん、2人共。」
「だから好きじゃなくて、いいなぁだもん。」
「なにそれーじゃあがりさんは？」
「そーやんはいいなぁーじゃなくて、いい！だよ。」
「もっとなにそれじゃん。」
「そーやんはさくちゃんも仲良しだし、いろいろ知ってるもん。」
「あーそういうことね。」
「さくちゃんはいいなぁーじゃなくて、超いいって感じ。」
「超ついちゃうの？」
「そうだよ、超じゃ足りないくらいだよ。」
いつもと同じ朝。
変わらない俺たちの生活にひとつ変わったことがある。
「A！」
「あっ！さくちゃん、じゃあまた明日ね！」
「うん、また。」
Aちゃんに彼氏ができた。
全然知らない先輩、俺は高確率で睨まれる。
いつもは学校内で会わないようにしてるんだけど。
今日は失敗、通学路の途中で待ってると思わなった。
なんか気に食わないんだ、胸がぞわぞわする感覚。
歩幅を合わせて歩いてあげればいいのに…Aちゃん早歩きになってるし。
車道側歩いてやれよ…男のくせに。
もっと大事に頭触ってやれよ、あれじゃたたいてるようなもんだよ。
イライラしながら、足を止めてると肩をポンっとされる。
「さーくちゃん。」
「おはよう、がりさん。」
「Aちゃんもう取られちゃったの？」
「うん。」
「そんな日もあるよ。」
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
