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「Aはチョコ作んの？」
「いや…うーん。」
「悩むってことはあげたい人が居るってことだ。」
「…一応ね。」
「でも彼氏居たっけ…好きな人か。」
「まぁ･･･うんそんな感じかな。」
「そもそも片思いの女子が渡すもんだもんなぁ。」
チョコレート業界が火をつけたとしても、女の子にとっては特別な日なんだろうなぁ。
「その日だけは勇気を出してなんて言われても、
結局はいつもと変わらない日だし勇気が出たらって感じ。」
「手作り？」
「そう。ガトーショコラなんだけど、あんまり上手じゃないけど。」
「いいじゃん手作り。」
「毎年、今年はって思うのに渡せないの。」
「へーえ、乙女だ。」
「え？」
「今、すごい乙女な顔してたよ。」
「やめてよ…恥ずかしいなぁ。」
「くはは、可愛い。」
普通に話してたのに、どんどんピンク味を帯びてくるAの頬。
バレンタインは女の子を可愛くする日でもあるのかもしれない。
「美勇人くんはチョコレートたくさんもらいそう。」
「全然。去年は母さんと姉ちゃんからだけ。」
「彼女は？」
「あー付き合ってた子からはもらったけど、もう結構前に別れたし。」
「フリーの方がいっぱいもらえると思うけど。」
「そういうもん？」
「そういうもん。」
「そっかー。そういや大我、去年30個ぐらいもらってたわ。」
「京本は今年も多そう。」
「ねー。もしかして大我にあげるの？」
そうやって言うと雑誌に向けてた瞳が俺に向いた。
「え？」
「違うの？」
「うん…違う。」
「そっか。その人には去年渡せなかったの？」
「彼女居たし、作ったんだけど勇気出なかったなぁ。」
「そっかぁ。」
少し寂しそうに話すAの横顔に思ったことを口走る。
「そんなに好きなんだ。」
「ん？」
「いやなんかその好きな人のこと話すとき表情が変わるから。」
「好きになってから、3回目のバレンタインなの。」
「へーえ、同じ学校のやつ？」
「最初に会ったのは中学の通学路の電車で、高校に入ったらその人が居たの。」
「入学したら居たってなんか運命的だね。」
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
