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気付くのがちょっと早すぎる洞察力に嫌気がさす。
お気に入りのニットワンピース、きちんと巻かれた髪の毛に多少崩れたメイク。
君がおしゃれをする相手なんて知りたくもないのに。
「まだ起きてたの？」
「明日なんもないんだー。」
「卒論は？」
「それも終わった。
無事に4年で卒業出来そう。」
「良かったね。」
「とりあえず話したいことまとめておくように。」
「はい。」
「Aちゃんいいお返事ですねー。」
沈黙が怖くて饒舌になるのを黙らせる。
抱きしめたり、触れたりすることは容易くない相手。
彼女より知り尽くした幼なじみの恋人なんて、運命って本当に残酷だ。
「よっし、降りてよん。」
「うん…ふふふ。」
「なに笑ってんだよん。」
「よんよんうるさいね、なんか。」
「眠くてテンションおかしいんだよん。」
「ごめん。」
「謝ったって許さないよん、ほら降りて？」
車から降りて、階段の下から二段目がいつもの場所。
アウターを脱いで肩にかけてあげて、二つ上に座る。
いつ振りだろうAとここに来るのは。
昼間はわりと子供が多くてうるさい高台にある広い公園。
夜になればカップルが夜景を見ながらベンチでいちゃついてる。
もうすぐ夜が明けるこの時間、この空を2人占めしている。
「涼太と喧嘩した？」
「少し言い争いになっただけ。」
「そっか。」
「やっぱり、私と涼太くん釣り合ってないよね。」
俺を呼ぶ理由なんてわかりきったこと。
「そう？俺はお似合いだと思うけど。」
「…そうかな。」
「涼太結構マジなんだ。
だから本気になるんじゃない？
だから喧嘩もするんだろうしAもむきになるんじゃないの？」
馬鹿みたいだなって自分でも思う。
奪えるチャンスなんてきっといくらでもあった。
今日よりも、もっとひどい時もあったし。
「私ばっかり好きみたいなんだよね。」
俺の好きという気持ちにストッパーを書けるように涼太を好きと言う。
本心を知れば知るほど、突き放されてるみたいで辛くなる。
こんなにも好きなのに、伝えることすらも許されない恋がある。
「それさ、俺に言うことじゃなくない？」
「そうだけど。」
「涼太の本気に答えてやって、幼なじみとしてのお願い。」
そう言って小さな頭にポンッと優しく触れる。
グーッとひざとの距離が近くなるおでこ。
いつだって抱きしめたい衝動に駆られる。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
