Short Story #02 (ページ18)

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新婦の兄にあたります安井謙太郎でございます。
新婦の父親に代わりまして阿部、安井の両家を代表し、一言お礼のご挨拶を申し述べさせて頂きます。

私が7歳の頃、Aが産まれました。
6歳の誕生日に母が見せてくれたエコー写真を見て泣きました。
人生で初めての嬉し涙でした。
Aが産まれた日、私に小さなタカラモノが出来ました。

(中略)

顕嵐くん、少しわがままになったのは僕のせいです。
気が強くなったのもきっと僕のせいだと思います。
でも優しい女の子です、末永く幸せにしてやってください。

A、今日もいつも通りキレイで可愛いです。
思春期も付きまとう僕のことうっとおしい日もあったと思います。
それでもずっとお兄ちゃんのタカラモノとして居てくれてありがとう。

ご両家の皆様、来賓の皆様。
本来父親がお話する場面で無理を言ってスピーチさせて頂きました。

高校生の頃父にお願いをした僕の夢は、こうしてAの結婚式でスピーチをすることでした。
夢を叶えて下さりありがとうございました。

拙く長いスピーチとなりましたが、お祝いの言葉とかえさせて頂きます。

大きな拍手、私の涙をそっとぬぐう顕嵐。
背中を少しだけ強めに押してくれてお辞儀をするお兄ちゃんの隣へ。
ビックリしたお兄ちゃんは優しい顔で両手を広げてくれた。

「A、本当におめでとう。」

「お兄ちゃんありがとう、大好き！」

世界で一番かっこいいお兄ちゃん、これからもよろしくね。