12 By your side / Myuto.M ページ1
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バレンタインが差し迫って校内が浮き足立ってる季節。
「友チョコだぁあ？やってらんねぇ。」
樹がいつも読んでる雑誌を床に叩き付けた。
「日本のバレンタイン文化ってどっかのチョコレートメーカーだったよな。なぁ北斗。」
やっすーの後ろを通りかかった北斗に聞けばいろんなことがわかる。
勉強もできるし知識豊富なヤツで、隣の女子校に彼女が居る。
「所説あるけど、たしかモロゾフかメリーチョコレート。
チョコレート業界が仕掛けたキャンペーンが発端だったはず。」
「バレンタイン商戦ってやつか。」
「どっちの理由にしてもやーってらんね！」
話終われば文庫本を持って教室の前扉から出てった。
「ってことはさ、チョコレート業界が儲かる為ってことか！」
「あーあ、彼女と別れたばっかの俺には無縁過ぎるー。」
両足をジタバタさせながら背もたれにぐでんとするやっすー。
あれ…ついこの前まで彼女居たはずじゃなかったっけ？
「え？やっすー別れたの？」
「もりみゅう今それ言うか？」
「え？」
「昨日だよ、別れたてほやほや。」
「傷をえぐるなぁー。」
って言いながら両手を伸ばしてずるずると机にしなだれる。
「お母さんくれんじゃないの？」
「母さんだけのバレンタインなんてやってらんね。」
「っていうか男性ファッション誌でも特集組むってどうなってんだ！
4ページも使いやがって、その分の金返せや！くそっ！」
拾った雑誌をバシッ床に叩きつけて、つまんなそうな顔をしてる樹も先週別れたばかり。
かくいう俺も2人と同じく今年のバレンタインはもらう予定もない。
その雑誌を拾うと“男子から女子へ”の言葉が目に入ってくる。
そこには女の子が喜びそうなラッピングされたチョコレートの写真。
“大切な人へ感謝を込めて”って書いてあって、そういうことかと納得。
チョコレート業界が潤う2月14日、いろんなフレーズを付けて売りたいってわけね。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
