Look at Me #01 (ページ47)

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「やっぱりおいしいね。」

「うん。」

さっきの理子ちゃんすごく楽しそうだったな。
外気で溶け始めたフラペチーノのせいで手が濡れる。

「はい。」

「さんきゅ。」

「早くしないとフラペチーノの醍醐味がなくなる。」

「だな。」

そう言ってキャラクターのタオルを俺に渡してくれる。
いつも通りで居るAのことを初めて強いんだって思った。

少しの沈黙を破ったのはAだった。

「顕嵐…ごめんね。」

「なにが。」

「もっと早く私が気づいてたら、見なくて済んだのに。」

「お前のせいじゃないよ。」

「でも…顕嵐が悲しいと私も悲しい。」

Aの居る場所の砂にぽたぽたしずくが落ちる。
それはカップから落ちてくるものだけじゃないことはすぐにわかった。

「なんで泣くんだよ。」

「悲しいんだもん。
　顕嵐泣かないから私が泣く。」

「別に悲しくなんかないよ。」

「そんなはずないでしょ。
　顕嵐の気持ちすごくわかる。」

こんな想いで過ごしてたんだってこと、身をもって知った。
抱きしめることも、頬を伝う涙もぬぐってやれない。

「好きって難しいね。
　顕嵐も私も好きなのにうまくいかない。
　同じ好きなのにさ･･･どうしてうまくいかないんだろう。
　神様っていじわるだよね。」

泣きながら笑いかけてきたAを見て、体が勝手に動く。

「あ…らん。」

「ごめん。」

「なんのごめんなの…それ。」

「わかんない。」

「わかんないのに謝るの？」

「うん。」

「そういう気分ってこと？」

「そういうことにしといて。」

左耳からすごく近くにAの声がする。
不思議と悲しいっていう気持ちが薄れてくる。

「顕嵐…。」

「なーに。」

「嬉しいはずなのに、全然嬉しくない。」

「ごめん。」

気づけば空は茜色に染まっていて、時間が過ぎることも忘れてお互いの肩に顔を乗せてしばらくの間2人して動けなった。

動けなかったんじゃない、動こうとしなかった。