Look at Me #01 (ページ41)

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次の日、ほしちゃんは風邪を引いて学校を休んだ。
風邪じゃないかもしれないけど、あれだけ雨に打たれたんだからそりゃ具合も悪い。

顕嵐とも話さず放課後まで時間があっという間に過ぎた。
いつも通り部活も終わって部室で着替えてると、顕嵐が話しかけてきた。

「宮近さ…これから用事ある？」

「特にないけど。」

「これ…渡しに行ってくんない？」

映画の前売りとコンビニの袋を俺に渡してきた。
それを受け取る気にはなれずに言い返す。

「自分で行きなよ。」

「映画楽しみにしてたから。
　きっとネタバレみないようにしてるだろうし、連れてってやってよ。」

「…本当にそれでいいの？」

「頼む。」

頭を下げる顕嵐、なんか断れなくて受け取ろうと袋に手を掛ける。
すると横から岸くんがその袋と前売りをさっと顕嵐の手から奪う。

「頼まれてやるけど、もうお前もうほしちゃんに優しくするな。
　今までみたいにはいかない覚悟出来んの？」

「宮近もそうだけど大げさ。
　なにも変わらないし、俺はたぶん変えられない。」

「お前はそれでいいけど、違うだろ。
　いい加減わかれよ。」

「アイツが俺のこと好きだなんてよく言えるよ。
　俺は2年も一緒に居て言われたことなかったんだ。
　そんなこと言われたってよくわかんねぇよ。」

「じゃあ自分で確かめて来い。
　これはお前に行く義務があるだろ。」

そう言って顕嵐につき返す岸くんを見て僕は何も言えなかった。
顕嵐は岸くんの顔をにらむけど、岸くんは表情ひとつ変えずに顕嵐の手に押し付けた。

きっとこれが正解なんだ。

「ジン、宮近帰るぞ。」

「おう。じゃーな顕嵐。」

そう言ってジンは岸くんの後を追う。

「顕嵐…ここで動かないときっと後悔する。
　それは顕嵐だけじゃなくて、ほしちゃんもずっと前に進めないよ。」

「俺…きっとAのこと泣かせると思う。」

「それでも…中途半端にする方がもっと悲しくさせる。」

そう言って顕嵐の頼りない肩をポンッと叩いて部室を出る。
どうやったってどうにかできるのは顕嵐しかいない。

これは顕嵐の親友として俺が出来る精一杯。

それを僕は見守ることしかきっと出来ないし許されない。
3人の帰り道は風が通り抜ける音がするくらい静かだった。