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目覚ましより早く起きた朝は少しだけ気分が良い。
昨日はバスケ部を見に行って、そのままスタバで来週公開される映画の話をしてた。
田中さんが笑顔で『2人一緒なの久々だな。』って話しかけてくれた。
土日メインにバイトしている顕嵐だけど公開日のその日は休みにしてるって。
カレンダーの丸を見て笑顔になる。
「いってきます。」
「今日雨降るみたいだから傘持っていきなさいよー。」
「こんなに晴れてるのに？」
「午後からお天気崩れるって天気予報で言ってたから。」
「はーい。」
大好きな折り畳み傘は去年の誕生日に顕嵐がくれたプレゼント。
持ち手が猫になってて、猫のシルエットが水玉模様になっててすごくお気に入り。
久しぶりに出したお揃いのリュックに傘を閉まって家を出た。
教室につくとちゃかちゃんが眠そうに目をこすってて、隣の席に居るはずの顕嵐はまだ来ていないみたい。
同じ時間帯に合わないってことは彼女と来るってこと。
金曜日だし、あと1日くらい休んでくれてよかったのにな。
教室の前扉から顕嵐が入ってきて、自分の席には座らず私の前に来た。
「A、ごめん。」
「おはよう顕嵐、どうしたの朝から。」
「映画なんだけど、一緒に行けなくなった。」
「なんで？なんか予定入ったの？」
「彼女にダメって言われてさ。Aと映画に行くの。」
「ずっと楽しみにしてたのに。」
「だからごめんって。」
いつもならここで許せるのにそれができない。
「うそつき。」
「だからごめんって言ってるだろ。」
「映画決まった時に絶対に一緒に行きたいって言ったのは顕嵐だよ。」
「そうだけど、ダメって言われたから。」
「なんで言っちゃったの？」
「隠す必要ないって思ったから。」
「ほんとにばか。」
「はっ？なんだよ。」
「なんで顕嵐が怒るの？」
「謝ってるのになんなんだよ。
どうすればいいんだよ。」
「もういい。行かない。」
「前売りは？友達と行けよ。」
「そっちが勝手に観に行けばいいでしょ。」
「お前が行けよ。」
そう言って前売り券を私の机に音を立てておいた。
「おい！顕嵐。」
「宮近には関係ないから。」
「ほしちゃん泣いてるからもうやめろよ。」
勝手に流れる涙は止まってはくれなくて、スカートにぽたぽたシミを作る。
ちゃかちゃんが大きな声を出して顕嵐を静止した。
クラス中が一気に静まりかえって、顕嵐はカバンを乱暴に置いて教室から出て行った。
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作者名：kiki | 作成日時：2019年2月25日 2時
