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「美勇人くん…頑張ってますか?」

「毎日めっちゃ踊ってる。」

「そっか。」

「ちゃんと掃除も、洗濯もやってる。
 同じ部屋のミカエルがびっくりするぐらい料理上手くなった。」

「そっか。」

「元気だった?」

「うん、大学の入学式で大我くんに見つかったの。」

「そっか。」

「すごい叱られた、美勇人くんのこと。」

「うん。」

「親友っていいよね。」

「そうだね。」


ふと見ると、あの時渡したピアスが右耳についてる。
自分で開けたのかなって思って、触れてみる。


「病院でちゃんと開けた。」

「痛かった?」

「少しだけ…これすごい可愛い。」

「誰が選んだと思ってるの?」

「イエロースフェーン…成功とか達成って意味があるって。」

「うん、あの時の俺の願い事。」

「まだ…夢叶ってない?」

「あの時も言ったけどスタートラインに立っただけ。
 もうすぐ留学終わるけど、こっちには残ることにしてる。」


今だから、言いたいことも聞きたいこともあるはずなのに。

ここに流れる時間はあの頃大事にしてきた、夜の公園と同じ。


「美勇人くんの未来…隣にまた居させてくれませんか?」

「え?」

「4月から…こっちの大学に通うことになりました。」

「うそでしょ?」

「手離したのは自分なのにおかしいよね。
 やっぱり美勇人くんの隣に居たいって…ずっと思ってたの。」

「お父さんは?」

「反対されたし、叩かれたけど負けなかったよ?」

「叩かれたの?」

「うん・・・でも海斗がすっ飛んできて、お父さんにやり過ぎだよって守ってくれた。」

「そっか…痛かった?」

「痛かったけど、次の日『行ってきなさい』って。
 昨日こっち来る時に『美勇人くんに謝っておいてくれ』って。」


右の頬を撫でると、やっと交わった視線。


「家は?」

「大学の寮、ここから近いみたい。」

「そっか…。」

「勝手でごめんだけど…隣に居させて下さい。」


華奢な彼女が、小さく頭を下げるからしゃがんだままぐっと引き寄せる。
尻もちをついたまま、ぎゅーっとAを抱きしめる。
ふぅっと息を吐けば真っ暗な夜空に吸い込まれるように、白が消えていく。

うまくいかないから夢を見るし、未来に思いを馳せる。

すべてが見えてしまって、描いた通りに進まないように出来てる。

でもきっと運命はそこにあって、その証拠は俺の腕の中に。


昨日と同じ太陽が昇って朝が来る、でも昨日と違う明日が俺を待ってる。


---夜空ノムコウ by SMAP

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作者名:kiki | 作成日時:2018年10月1日 16時

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