お帰り下さい、お客様 ページ7
「―我がこれから尋ねることに、包み隠さず答えられるな?」
ギルガメッシュの放った言葉を聞いたAは、どういう訳か「しまった」とでも言いたげな、苦虫を噛み潰したような表情になった。
そう。
彼女にとっての今日一番の失策は、この男に対して罪悪感を抱いたことだったのだ。
自身の数秒前の発言を内心で猛烈に後悔しつつ、Aは再びギルガメッシュに目を向ける。
発端である彼は、彼女の苛立った視線を受けながらもなお怪しい笑みを浮かべていた。
「…答えられる範囲内でなら。」
むっつりとした彼女の返答に反比例するように、ギルガメッシュは「ほう、そう来たか」とより一層笑みを深くし、
唐突に、部屋の真ん中に置いてあったソファーに思い出したように腰かけた。
「ならばこの問いはその条件に当てはまるな。
…貴様、『我と同類』だな?」
途端、Aの目が大きく見開かれた。
ギルガメッシュの雰囲気が一瞬にして冷ややかに、冷徹になったことによる驚きで、ではない。
「…へえ、どういうことでしょう。」
彼女の表情が、むっとした拗ね顔から
いつもの店先へ立つ際のふわりとした笑顔へ徐々に戻っていく。
「全く何を言っているか分かりませんが。」
「…ククク、殺気が隠しきれていないぞ、女。」
ただし。
その目は、表情ほどには笑っていなかった。
「しかしまあ…ふむ、そうか。成る程な」
だが、そこはギルガメッシュ。
明確な敵意、もとい殺意を向けられているにも関わらず、
彼は怯むどころか前のめりになりAを笑って眺めていた。
気に入った宝物でも眺めるかのように、意地が悪く、そしてどこか少し、愛おしげに。
「哀れだな、過去の遺物よ。望まぬ生など辛かろう?」
嘲笑うようにギルガメッシュが発した言葉は、彼女の眉をぴくりと僅かに動かした。
Aはそれまで貼り付けていた笑みすらも消すと、
「…何のことを言っているか分かりませんが。
望んで生まれてきた『人間』なんているんですか?」
そう一言投げかけ、後は黙ってギルガメッシュを「さっさと帰れ」とでも言いたげに睨みつけた。
「…挑発にも乗らぬとは、あくまでシラを切り続けるか。
まあ良い、戦果はあった。今日は貴様の意向に応じこちらから身を引いてやろう。」
また来る、と言って玄関に向かうギルガメッシュの背にAは、溜息と共に「店にだけ来てください」と言葉をかけた。
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あめ(プロフ) - めちゃくちゃ続き気になります、、、!!!!また読めるときを楽しみにしています! (2020年3月24日 0時) (レス) id: 234461cd72 (このIDを非表示/違反報告)
クミコさん - ねぇっ、ちょっ!気になる!!イケメンはどこまでもイケメンだなぁ!!おい!!ギルよ!!更新欲しいです。待ってます (2020年3月6日 0時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - アルっさんさん» 外道神父一発で変換出てこなくて困りますね…!(笑)有難う御座います、お互い頑張りましょう。(o^―^o)カニファンが混じったのは…ギルギルマシンのせいです…(言い訳) (2019年1月17日 21時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - 若干のカニファン時空を感じます…!しゅき!(挨拶)因みに外道神父は綺麗でなく綺礼ですよう。更新頑張ってくださいまし。私も、頑張って書くから。 (2019年1月17日 9時) (レス) id: e853ddccde (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お褒めの言葉有難うございます(土下座)思いつきの作品ですがギル様への愛は込めさせていただいております!伝わったようで何よりです…! (2019年1月14日 22時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki x他1人 | 作成日時:2018年12月29日 19時