持ち込み禁止。 ページ6
「―なんだ、店よりも狭いではないか。家財も無いに等しい…
平民とはいえ貧相すぎはせぬか、これ?」
「文句言うなら帰ってくれませんか…」
無粋すぎる客を相手に、心落ち着くはずの自宅で溜息を吐いたA。
……事の発端は30分ほど前に遡る。
―店先でAを待ち構えていたギルガメッシュは、意味深な笑みを彼女に向けると
「A、貴様の家はどこだ。」
と言い放った。
彼の発言の真意を理解できなかったAは戸惑いつつ『柘榴』の2階に自宅を構えていることを伝え、突然どうしたんです、と再度尋ねかけた。
「いや何、言峰と貴様の話をしていたら唐突に貴様の事が気になりだしてな。」
安物だが悪くないぞ、と何処からか出したワインボトルをAに見せつけるギルガメッシュ。
この時初めてAは、この王様が言わんとすることを理解した。
彼の態度から何を言っても無駄だということを悟ったAは、こうしてしぶしぶ彼を自宅へ招き入れたのだった。
「…言っておきますけど、それ、持ち帰ってくださいね。」
買ったものを片付けつつ厭うようにAが指さしたのは、ギルガメッシュの持ち込んだワインボトル。
これはギルガメッシュが言峰綺礼のワインセラーから無断で持ち出した一本であり、ギルガメッシュにとっては軽めの手土産のようなものだった。
彼女の言葉はギルガメッシュからすれば、せっかく持ち込んだ土産を蔑ろにされたようなものである。
彼が不満を口にしようとすると、丁度Aが口を開いた。
「お酒嫌いなんですよ。煙草もそうなんですけど、どうも私に合わないみたいで。
…折角持ってきてもらって、申し訳ないです。」
「ほう、初耳だぞそれは。そういうことは早く言え。」
全く、と不機嫌そうにしながらも謝罪の言葉に満足したのか、大人しく自身の宝物庫にボトルをしまい込んだギルガメッシュ。
一方、罪悪感を払拭しきれないAは話題の転換を図る。
「あー…、それで、私の事が気になったって、何が気になったんです?
個人情報以外で、答えられるようなことなら何でも…」
「ならば、」
言葉を遮られたAは、目を見開いてギルガメッシュの方を見た。
実は、ギルガメッシュにとってはここからが本題だったのだ。
彼は待っていましたとでも言うように口元に深い笑みをたたえ、
「…我がこれから尋ねることに、包み隠さず答えられるな?」
そう言った。
171人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あめ(プロフ) - めちゃくちゃ続き気になります、、、!!!!また読めるときを楽しみにしています! (2020年3月24日 0時) (レス) id: 234461cd72 (このIDを非表示/違反報告)
クミコさん - ねぇっ、ちょっ!気になる!!イケメンはどこまでもイケメンだなぁ!!おい!!ギルよ!!更新欲しいです。待ってます (2020年3月6日 0時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - アルっさんさん» 外道神父一発で変換出てこなくて困りますね…!(笑)有難う御座います、お互い頑張りましょう。(o^―^o)カニファンが混じったのは…ギルギルマシンのせいです…(言い訳) (2019年1月17日 21時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - 若干のカニファン時空を感じます…!しゅき!(挨拶)因みに外道神父は綺麗でなく綺礼ですよう。更新頑張ってくださいまし。私も、頑張って書くから。 (2019年1月17日 9時) (レス) id: e853ddccde (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お褒めの言葉有難うございます(土下座)思いつきの作品ですがギル様への愛は込めさせていただいております!伝わったようで何よりです…! (2019年1月14日 22時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kiki x他1人 | 作成日時:2018年12月29日 19時