95話 ページ47
…
“応援する”
そう言った時の、智洋の顔が忘れられない。
俯いて、引きつったような顔で苦笑いしてた。
その表情から悲しさや切なさ、苦しさなどが感じ取れて。
酷いことをしてしまった。
彼の気持ちを知っていながら
他の子との恋を応援するなんて。
もっと違う言い方もあったはずなのに
大毅の前だからってあんな言葉しか出てこなかった。
あれから、智洋とは距離ができてしまった。
どこかでばったり会っても何も話さなくなったし
目も合わなくなった。
それが、こんなに悲しいことだったなんて
知らなかった。
何だかんだ智洋はいつも私の味方でいてくれて
なんでも相談に乗ってくれたし
落ち込んでたら慰めてくれた。
だけど私は、いつもそんな彼の好意を利用するだけで
彼に何もしてあげてなかった。
彼に避けられることがこんなに辛いなんて
思ってなかったよ…。
ほんとに最近、悩み事が多すぎる。
モヤモヤしたまま、久しぶりに購買にお昼を買いに行くと
「………あ、」
“愛美ちゃん”の姿。
隣には聖菜ちゃんと、
……智洋がいた。
3人で仲良く、何を買うか決めているみたい。
そういえば、あの子
大毅のこと諦めないとか言ってたけど
あれからまた彼にちょっかい出したりしてないよね？
そんなことを思いながら遠くから3人を眺めていると
どこからか大毅がやって来た。
「………え？」
彼の登場に、嬉しそうに駆け寄る愛美ちゃん。
大毅はちょっと困ったように眉を下げている。
そのまま、何かを買って4人でどこかへ行こうとするから
「っ………！」
気づけば、彼らの真後ろまで駆け出していた。
大毅「…あれ、A？」
私に気づいてくれた大毅が、不思議そうに見つめてくる。
彼の隣にいた愛美ちゃんは、私を睨みつけながら大毅の制服のシャツをぎゅっと握った。
智洋は私を見て気まずそうな顔をして
聖菜ちゃんも突然現れた私に怒ったような表情をした。
「大毅、お昼……」
もしかして、彼女たちと食べる気じゃないよね？
必死に縋りつくような目で言った私に、
大毅「ごめん、今日愛美ちゃんたちと食べることになってん。」
私が一番聞きたくなかった返事をした。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
