93話 ページ45
…
“あの2人上手くいくと思ってたんやけどな、だめやったみたいやわ”
そんな、照史の言葉を授業中に思い出す。
大毅は今までずっと由紀の部屋に行ってたのに
突然行かなくなったってこと？
どうして？
あんなに由紀のことが好きで
きっと彼女の1番の理解者で
いつも味方でいてあげてたのに
あんなに片想いしてたはずなのに
なんで………。
大毅が由紀のことを見なくなったのなら
私にとっては好都合だし、嬉しいはずなのに
展開が急すぎて頭が追いつかない。
本当に大毅はもう由紀のことを諦めたの……？
前の方に座る隣同士の席の2人を見ても、いつも通りに感じる。
大毅が由紀にちょっかい出して
由紀が鬱陶しそうに怒って………
だけど、本当は心の中で
悲しい思いをしてるのかな。
何がきっかけで由紀から離れたのかは知らないけど
きっと大毅は今苦しんでる………
なんだか考えることが多すぎて頭が痛くなってきたので
久しぶりにいつもの空き教室にサボりに行くことにした。
ほとんど使われなくなった西校舎の廊下を歩いていると
前に見覚えのある二つの影。
いつもはポーカーフェイスの彼女の、見たこともないくらい乙女な顔。
隣にいる彼も彼で、いつもは彼女を避けてるように見えるのに
優しく微笑んでいる。
寄り添うように並んだ彼らは、私がいつもサボる時に使う一番端の教室の一つ手前の空き教室に入って行った。
やっぱり、流星と知宙
前の関係に戻ったんだ。
だけど流星の想い人を知る私からしたら
そんなのただの気休めにしか見えない。
だって凛ちゃんと知宙は姉妹だ。
性格は全く違うように見える2人だけど
流星はきっと、知宙の中に凛ちゃんの面影を探してるんだと思う。
バスケの大会の時に起きたあの出来事があってから
流星と凛ちゃんが一緒にいるところを見たことがない。
きっと彼は、その虚しさや苦しさを知宙で埋めようとしてるんだ。
最初に彼らがそういう関係になった理由も
たぶん同じだろう。
流星のことだから
1番の理解者だから
私にはわかるよ。
なんだかそのまま隣の教室に入る気にもなれず
西校舎をあとにした。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
