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88話 ページ40








智洋「あっ、A!」



5時間目の移動教室の時


廊下に出ると偶然隣のクラスから智洋が出て来た。




「とも…久しぶり。」


そう言って微笑んだ私に対して、彼は険しい表情。



智洋「……1週間も来ないからめっちゃ心配した。」


ちょっと怒って…る?



「ごめん、連絡もしないで。風邪、やったから……」


智洋「ほんまに?」


「え?」


智洋「先週の月曜、お昼に教室出てった時泣いてたやろ。」


「…。」



うそ、見られてたの?



智洋「あん時からめっちゃ心配してた…。なんかあったんかなって。だけど音信不通になって理由も聞けなくて、めっちゃ焦って…。流星に聞いても知らんって言うし、淳太に聞いたら風邪やって言うだけやし…。」



智洋は険しい顔のまま

ちょっとだけ俯きながら私に訴えるように言う。



智洋「…なんか、あかんねん俺。Aが泣いてるとこ見ると…。そばにいてあげたいって思うし、慰めてあげたいし、俺には何でも話してほしいって思う。」



今度は眉を下げて、上目遣いに見つめてくる。



智洋「せやから今度からは絶対LINEも電話も出て。…無視、せんといて。」



「うん、ごめん…」



智洋「…ほんま、無事でよかった。」





ちょっとだけ泣きそうに笑って


ぎゅっと抱きしめられる。




相変わらず、智洋は私に過保護だ。


だけどこんなに心配してくれて、ありがとう。






流星「あ、A」



教室から流星が出てきた瞬間、慌てたように私から離れた智洋。


その様子に私も流星もぽかんとする。




智洋「ごめ…流星に見られたかな」


不安そうにそう私に耳打ちしてくる。



「え、」


智洋「今の俺が一方的にやったことやから…ごめんな、流星」




一言そう言うと


なぜか悲しそうな表情をして教室に入って行ってしまった。





なんか絶対に勘違いしてるよね………?





流星「…あー、そういえば俺らが付き合ってるって噂流れてるらしいけど…ほんまやったんや。」



流星は面白そうに片方の口角を上げてニヤニヤしている。




「何それ、迷惑なんやけど…」



きっと体育祭の時、みんなに勘違いされたんだな…。





流星「ええやん、このままにしとこうや。」



「嫌やわ、否定して!」



流星「なんで?…むしろほんまに付き合っちゃう?」





相変わらず憎たらしい笑みを浮かべる流星。



絶対楽しんでるやん、こいつ……。









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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年9月27日 0時

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