79話 ページ31
Nozomu side
放課後になった。
Aは昼に教室を出て行ったきりまだ戻って来ていない。
あのあと、みんな勢いよく出て行ったAにびっくりして
しばらく誰も話さなかった。
だけどそれは、Aが泣いていたのを見たからやっていうのもあると思う。
なんで泣いてたんやろ。
誰が泣かした？
午後の授業も、Aのことで頭がいっぱいで全然集中できひんかった。
てか、俺が1番ムカつくんは
流星や。
彼氏のくせに、なんで追いかけへんねん。
なんで慰めてやらんの？
なんで、………
なんで俺じゃないんやろう。
俺なら、あんな風に泣かせたり
傷つけたり
1人にしたり
寂しい思いなんかさせへんのに。
なぁA、なんで流星なん？
そんなん、敵うわけないやん。
あんなイケメンで
バスケ上手くて
女子の扱い上手い奴になんか
……勝たれへんよ。
ただの、嫉妬やったと思う。
なんで流星はよくて、俺はだめやねんって。
そんな俺の勝手な感情で
Aと話さなくなった。
俺やなくて、
真っ先に流星を選んだAに
腹が立った。
智洋の時もAと話せなくなって後悔したのに
俺はまた同じ過ちを犯すんかって
考えれば考えるほど
また、Aとの距離が遠のいていった。
だから、体育祭で勇気を出して話しかけることができた時
嬉しかった。
…だけど、また君にオチていく自分を感じて怖くもなった。
一体どこまで好きにさせれば気がすむんや……
「A……」
小さく呟いて、彼女の机をそっと撫でる。
淳太「のんちゃん！」
そう呼ばれ振り返れば、ドアのところに淳太の姿が。
「なに？」
淳太「Aの席、どこ？」
俺が立っている目の前の席を指差せば、こちらへ向かって来る淳太。
急いだ様子で机の横にかかっていたAの鞄に荷物を詰め込み始めたので、慌てて聞く。
「Aは？」
淳太「保健室。」
「…具合悪いん？」
淳太「いや、…心の病ってとこやな。」
心の…病？
なんやそれ、どういうこと？
淳太「ほんま、うちの大事な大事な妹を………
泣かせたん、誰やろな。」
そう言って、淳太が怖い顔して睨んだ先には………………
なぜか、大毅の姿があった。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
