この恋、難攻不落につき。2 (ページ23)

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71話ページ23

…

みんなで円になって座って、中央に今日のために親が作ってくれた大量のお弁当を並べる。

もちろん、私と淳太も昨日の夜2人で作った。

崇裕「やっぱ照史んとこのおにぎりはいつ食べても美味いなぁ」

照史「せやろ？ま、俺は智洋んとこの唐揚げが1番好きやけどな。」

智洋「ほんま？俺は流星たちのとこの唐揚げが好きやな。」

聖菜「ともくんほんまにっ？それ、昨日聖菜もちょっと手伝ったんやで！」

みんな、各家庭で作られたお弁当を美味い美味いと食べ進める。

ふと、ちょうど私の向かい側に座る大毅が

黄色いタッパーに入ったおにぎりを掴んだのが見えた。

心拍数が上がっていくのを感じながら、そのままおにぎりを口に入れる大毅を見つめる。

「うまい」

そう、小さく呟かれた彼の言葉を

私は聞き逃さなかった。

瞬間、紅潮していく頬の熱を感じる。

照史「淳太くん、さっきから自分家のおにぎりばっか食うやん。」

淳太「当たり前やん。だって昨日の夜Aが俺のために心込めて握ってくれたんやで？」

隣で、そんなやり取りが聞こえたあと

次々に黄色いタッパーに手が伸びる。

淳太「ちょぉ、そんな食うなって！！」

淳太の叫びも虚しく、私が作ったおにぎりは完売してしまった。

智洋「A、めっちゃ美味い。」

みんなが口々に美味しいと言ってくれるのに

彼が言ってくれた時とまるで違う。

…まだ、頬の熱が冷めやらない。

休憩時間が終わって、それぞれ自分の団の応援席に戻って行く。

赤団の席に戻る大毅を見つめていれば

また、あの子に笑いかけていて。

ほんの一瞬でも、大毅の隣にあの子がいないだけで

こんなにほっとした気持ちになれたのに

…あの子はすぐに、彼を連れて行ってしまう。

私の入り込めない、彼らだけの世界へ。

ため息混じりに、前を歩く流星の後を追おうとしたその時

クイっと袖を引かれ

反射的に後ろに振り向く。

「…望？」

そこには、久しぶりに近くで見た望の姿。

私の袖を持ったまま

言いにくそうに、恥ずかしそうに俯いている。

私に向けたその表情も、なんだか懐かしい。

望「…髪型、似合ってるな、って。まだ言ってなかったから…。」

そんなに顔を赤くして。

だから、ついついからかいたくなるんだ。

…