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62話 ページ14








最近ずっと雨が続いているせいで


外でのボード作成を中止にしてたけど


さすがにこれ以上休んでいたら終わらない、ということで



あまり使われていない西校舎の隣にある屋根つきの駐車場を作業スペースとして使うことになった。


ここはもうほとんど使われなくなっていて、

車も停まっていないからペンキを使っても大丈夫らしい。




放課後、道具を持ってその場所へ向かう。



流星は先生に呼ばれたらしく遅れて来る予定で、他の1年生の子たちも部活で遅くなるらしい。



こういう時、帰宅部は不利だよなぁ。




今日はサッカー部もテニス部もバスケ部もあるから

作業場には私しかいないだろうな、と思っていたら







「…で、ほんまにかっこいいなぁと思って。」

「えー、好きなん?」

「そう…かも」

「きゃーー!!」





…誰かの、話し声。


誰だろう、と陰から覗くと





聖菜「ええやん、聖菜応援する!大毅くん今彼女おらんし!」


「ほんまに…?好きな人とか、おるんかな?」


聖菜「え〜、大毅くんあんまそういう話せえへんからな〜。けど愛美(あみ)かわいいもん!いけるって!」





その言葉に、体が固まる。


話しているのは聖菜ちゃんと…たぶん、大毅と同じ団のボード係の1年生。



顔を真っ赤にしながら

聖菜ちゃんと嬉しそうに笑い合っている。




あの子が…大毅のことを?



いや、今までだって大毅のことを好きな子も

告白した子も見てきたけど


高校に入ってからは、大毅が由紀を好きだという噂が結構広まってて

そういう子、あんまりいなかったから…


1年生だから、その噂を知らなかったのかな。





久々だ、この感じ。


胸の中が圧迫されたように苦しい。

ぐるぐる、嫌な感情が渦巻く。



あんなに大毅に意識してもらえず、拒絶されているくせに


嫉妬心だけは消えてくれない。



私が1番彼のことを知っていて

私が1番彼のことを好きで

彼は私のものなんだ…って




純粋に恋をしている、かわいらしい1年生の彼女に


こんな風に敵対心を持ってしまう自分が子供みたいで馬鹿馬鹿しい。





愛美「告白…してみようかな」


聖菜「え?」


愛美「体育祭の日…大毅先輩に、告白する」




その言葉を聞いて、私は静かにその場を去った。






体育祭が……もう一生こなければいいのに。








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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年9月27日 0時

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