この恋、難攻不落につき。2 (ページ13)

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61話ページ13

…

崇兄は、立ち止まって

優しく私の涙を拭ってくれた。

崇裕「薄々、気づいてはおった。流星の気持ちに…。凛のことが好きなんやろな、って。けど勝手にその気持ちは憧れみたいなもんやろって決めつけてた。

せやから、あの時優太に殴りかかる流星を見て、こいつの気持ちはこんなに大きかったんやって気づいた。」

はは、と切なそうに笑う崇兄。

崇裕「…けど、正直怒りの方が大きかってん。せっかく優勝できた後なのに、何があったかは知らんけどその場の感情で人を殴るなんて。俺が引退して今後バスケ部を引っ張って行くのは流星しかおらんのに、何してんねんって。」

そう言ってちょっと怒った表情になった崇兄を見て

やっぱりあの時私が彼を止められていたら、と考えてしまう。

崇裕「せやけど後になって考えてみたらさ。俺ももし好きな子のことで何かあったら、後先考えずに行動してしまうかもなって。もし俺が流星と同じ立場だったとしても、あいつと同じことするんちゃうかなって。

そう思った時俺に何ができるか考えたら、あいつがこれからもバスケを続けられるよう先生に頼み込むことやと思ってん。」

崇兄の最後の大事な試合後にあんな事件を起こして

本当なら流星を恨んでもおかしくないのに

こんな考え方ができるなんて

素直に彼のことを尊敬した。

崇裕「先生、最初は流星を退部にしようとしててん。けど俺はどうしてもあいつにバスケを続けてほしくて…。凛と同じにはなってほしくなかったから。幸い優太も見た目ほど大きな怪我じゃなかったってわかって、謹慎処分に留めてくれた。」

流星のために、そこまでしてたなんて…。

崇裕「せやからさ、Aのせいやないよ。きっと誰があの場にいたって流星を止められなかったと思う。あんまり自分を責めんといて？体育祭が終わったら流星も部活に戻れるから。…な？」

「うん。崇兄、ありがとう」

流星のこと、わかってくれて。

許してくれて。

バスケを続けられるようにしてくれて…

ありがとう。

崇裕「ボード係、2人には期待してるんやからがんばってな！」

「うん！」

崇兄をもっともっと好きになった

そんな帰り道だった。

…