60話 ページ12
…
「うわぁ〜、最悪…」
季節ももう梅雨。
連日雨の予報をやっているにもかかわらず
傘を忘れてしまった。
普段ボード作成はペンキを使うため外の作業スペースで行なっているので、今日の仕事は無しになった。
雨だというのにサッカー部やテニス部は屋内で筋トレ練習をしていて、大変だなぁと他人事に思う。
外に出ると、予想通りの大雨で。
流星を捕まえて一緒に帰ろうかと思ったけど、さっき帰り際隣の教室を覗いてみても彼の姿はなかった。
淳太を待ってもいいけど
生徒会って帰り遅いんだよなぁ、と途方に暮れながらとりあえず昇降口にあるベンチに座る。
崇裕「あれっ、A？こんなとこで何してん。」
そこへ、タイミングよく現れた崇兄。
崇裕「もしかして傘忘れたん？笑」
「うん。だからいーれーて。」
崇裕「ええよ、おいで。」
バサッと音を立てて
崇兄が大きな紫色の傘を開く。
そういえば、こうやって2人きりで帰るのは
すっごく久しぶりかも。
けど2人になれてよかった。
崇兄と話したかったこといっぱいあるし。
「…すごい今更やけどさ。優勝おめでとう。」
まだ、直接言えてなかったから。
崇裕「おー、ありがとう。Aが言ってくれるの待ってた。」
そう言って、満面の笑みを浮かべた崇兄が
こんなどんよりした日には不釣り合いやな、と思うくらいキラキラしていて。
崇裕「俺もAにずっと言いたかってんけどさ。あの時、Aががんばれって言ってくれたから俺はシュート打つことができたし、優勝できたんやと思ってる。ほんまにありがとう。」
そんな、
私は別に何もしてないのに。
崇裕「…それから、流星のことも。あの時、Aが流星のことを1人にしなかったから…あいつは試合に出て勝つことができた。せやから俺らが優勝できたのは全部Aのおかげやねん。」
崇兄はそう、嬉しそうに言うけど。
「…私は何にもしてへんよ。」
崇裕「Aはそう思うかもしれへんけど、俺らにとっては–––––––」
「だって！……あの時、流星を止められなかった。その場にいたのに、私は………」
突然、泣きそうになった。
普段流星がいつも通りに振る舞うから忘れかけていたけど、彼は今謹慎中で。
もし、戻れなかったら？
もうバスケができなかったら？
あんなにバスケが上手いのに…
そう思うと、ポロっと
涙が零れ落ちた。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 591人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
