この恋、難攻不落につき。2 (ページ1)

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49話ページ1

…

試合も終盤に差し掛かってきた。

今のところリードしているのは…

相手の学校。

夏希ちゃんも、向かいにいる淳太たちも

応援が白熱してきた。

…がんばれ、流星

がんばれ、崇兄…。

相手がシュートをミスして

崇兄がリバウンドしたボールを奪い取った。

一直線に、こちらに向かって走ってくる。

だけど相手チームに阻まれて、身動きが取れない状態に。

ゴール下で流星がパスの合図を出す。

崇兄が、流星にパスをしようとしたその瞬間

「がんばれ、崇兄っ…！！」

…一瞬、

ほんの一瞬だけど

崇兄と目が合った。

それから…

「「きゃーーーー！！！」」

ゴールからずいぶん離れたところから崇兄が放ったボールは

綺麗にゴールに吸い込まれていった。

夏希「きゃーーーー！！やった、Aやったよ！！」

うちの学校が逆転リードして

崇兄は一瞬でみんなのヒーローになったみたいだった。

崇兄の、最後の試合。

きっと勝てる

そう信じていた。

そのまま、同点になって

試合が終わる寸前

夏希「…凛っ！」

夏希ちゃんの声に、振り返ると

凛「…夏希。」

そこには、彼氏と一緒に

恥ずかしそうに手を振る凛ちゃん。

「えっ、なんで…」

私は驚きが隠せなくて。

だって、凛ちゃんがバスケの試合を見に来るなんて…

夏希「昨日の夜、私が頼み込みに行ったんよ。ほら、崇が前からずっと凛が試合に来てくれないって言っとったからさぁ。あいつの最後を凛にも見届けてほしいなって。」

「そっか…」

それで、凛ちゃんは来てくれたんだ。

だけど、少しでも

流星の存在を意識して来てくれたならいいな、と思った。

彼の想いを

なかったことにはしてほしくない。

夏希「みんなあっちに集まってんで。てか、もうすぐ試合終わるんやけど！遅いわ、ほんま！」

って、夏希ちゃんはちょっと怒り気味。

凛「ごめん、優太が寝坊して…。ええわ、私もここで見るから。」

それから、しばらく凛ちゃんは私の隣でぼーっとコートを眺めていた。

時々、その横顔が泣きそうに見えて。

3年ぶりに見たバスケは、凛ちゃんの目にどう映ってるのかな。

…