この恋、難攻不落につき。2 (ページ6)

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54話ページ6

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流星「けど、あの時…。Aを探してる途中で、あいつらの会話が聞こえてきて。…気づいたら、あいつに殴りかかってた。」

あの時の光景を思い出してみる。

あんなにキレてる流星、初めて見た。

流星「あいつの…真っ赤に染まった顔見た時さ、俺やっぱまだ凛のこと大好きなんやなって思った。凛のことになると、歯止めが効かなくなって。

なんで、こいつなんかのせいで凛はバスケを辞めたん…？なんで、凛はこいつなんかのこと好きやねん…って。そう思うとキリがなくて。」

「うん。…わかるよ」

きっと今、流星は泣いてる。

さっきまでも泣いて泣いて泣き疲れたはずなのに

まだこうして傷ついている。

それだけ、凛ちゃんへの想いが

強いってこと。

私にはわかるよ。

流星「凛…責任感強いから。中3の時最後の試合前に怪我して、うちの学校が負けたから。優勝できなかったのは自分が怪我したからやって…そう思い込んで、それがトラウマになって…きっと、怪我が治ってもバスケできなくなったんや。」

「…だとしたら、今日、バスケを見ることのできた凛ちゃんはきっと一歩前進できたよ。…流星のおかげやで？」

私の慰めに、はは、と切なそうに笑う。

そうだとええけどな、って。

流星「けど、俺はもう…凛に嫌われたやろうな。もう一生口も聞いてくれへんかも。」

なんで、悲しいのに無理して笑うんだろう。

なんで泣きながら笑うの？

「凛ちゃんに…本当のこと言わへんの？」

流星「言わへん…ってか、言えへんよ。きっと凛が傷つくやろ。悲しませるようなこと、したくない。」

こんなに優しい人に想われてる凛ちゃんが

素直に羨ましいな、と思った。

流星「だから…凛には内緒やで。」

「わかった。…秘密にしとく」

本当は、今すぐにでもバラしたい。

あの男の正体を教えてあげたい。

凛ちゃんを本当に大切に想ってるのは流星なんだよ、って

そう言いたいけど。

流星「そろそろ帰ろか。俺、部活謹慎になったから明日から朝練ないねん。ラッキーやろ？」

辛いはずなのに

どうして笑っていられるの。

けど、よかった。

謹慎ってことは、まだバスケを続けられるってことだよね…？

…