85話 ページ37
…
授業中。
さっきから望の視線は感じていた。
けど…………
前の方に座っている彼が、ちらちらこちらを見ているのは
……なんでだろう?
目が合うと、すぐ逸らされてしまう。
だけど数秒後、また目が合う。
彼の意図が読めない。
こんなこと今までなかったのに。
私が送る視線に、
気づいたことなんてなかったくせに。
気づかないフリばかりしていたくせに。
今さら、何よ………
期待なんかさせないで。
悲しくなるだけだから。
だけどふと考えてみれば
体育祭の時くらいから、彼は私に優しい。
ちゃんと目を合わせてくれるし
少しだけど話もしてくれたし
何より、学校を休んでいた私を心配してくれた。
こんなのって、奇跡に近い。
後輩のあの子のせいで落ち込んでいたけど
その度に彼のおかげで元気になれた。
これって、どういうことなんだろう?
なんで今さら私に優しくしてくれるの?
わかんない。あなたの考えていることが………
わかんないよ、大毅。
授業が終わって、休み時間になった。
私に話しかけたそうにしている望には悪いけど
真っ先に大毅のもとへ向かった。
廊下側の1番前。
彼の周りにはいつもたくさんの人が集まっている。
「あ、の………」
彼に話しかけるだけで、こんなに緊張している自分に笑ってしまう。
私から話しかけるのなんていつぶりだろう。
いつも嫌われたくないからと躊躇っていたのに。
その呼びかけは、たしかに小さかったと思う。
か細い声で呟かれたたった一言。
周りはざわざわとうるさかった。
なのに、あなたは……………
大毅「………ん、?」
なんで、聞き取ってしまうんだろう。
真っ直ぐ私の目を見つめて
紡がれる言葉を待っている。
「え、っと………」
あれ、私何を言うつもりだったんだろう。
わからないけど、無意識に
大毅に話しかけたいと思ってしまったんだ。
大毅「………風邪、治ってよかったな。」
それは突然だった。
不意に呟かれたその言葉に
胸がぎゅーっと締めつけられる。
これって現実?
それとも夢?
もうどっちだっていいから
このまま、時が止まってしまえばいいのに……。
固まったまま
たぶん顔を真っ赤にさせている私に
彼が、手を伸ばす。
その綺麗な指先が
肩に触れるか触れないか、
その時だった。
…
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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年9月27日 0時