この恋、難攻不落につき。 (ページ48)

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47話ページ48

…

あれから、1週間が経った。

今日はいよいよ崇兄の最後の試合の日。

あのあと流星と崇兄が仲直りしたのかは知らない。

だけど流星がこの1週間真面目に練習をしていたのは知っている。

崇兄と流星がグラウンドで喧嘩したあの日から

流星は私にべったりで。

この1週間、休み時間やお昼をすべて流星と過ごしていたから

当然、望たちとまた気まずくなってしまって…。

望とは、あの日一緒に帰るって約束してたのに

流星を優先してしまったから

今度はもう、しばらくは許してくれないかもしれない。

今日だって、ほんとは淳太や望たちと試合を見に来るはずだったのに

私は1人、こうやって人気のないところから試合が始まるのを待っている。

誰も何も言ってこないし

誰かに何かをされたわけでもないけど

なんとなく、あの日以降

私とみんなとの間に壁ができた気がする。

私はただ

流星の味方になってあげたかっただけなんだけどな…。

流星「A。」

下から流星に呼ばれて、ギャラリーにいた私は身を乗り出す。

流星「ちゃんと見とってな。」

「わかってる。がんばって」

ふと向かい側を見ると、崇兄が流星と同じようにギャラリーにいる淳太たちを見上げて楽しそうに話している。

最後に、一言だけ

崇兄にがんばれって言いたかったな。

試合が始まる寸前

隣に人の気配を感じて

見上げてみれば

夏希「元気してるー？A！」

いつも通り

にこにこ楽しそうな夏希ちゃんの姿。

「夏希ちゃん…」

夏希「もうすぐやな～試合！めっちゃドキドキしてきたんやけど！あ、そや、おにぎり食べる？」

「へ？」

夏希「今日の朝ともが作ってくれてん！お腹空いたやろ？はい、あーん！」

夏希ちゃんのこういうとこ、好きだな。

たまに勢いありすぎたり遠慮がないって思う人もいるかもしれないけど

きっと、私が1人だからこうやって来てくれたんだろうな。

「ふふ、おいしい…」

夏希「せやろー？私ともの料理はわりと世界一やと思ってんねん！元気ない時もこれ食べたらめっちゃ元気でるやろ？」

ふと、向こう側にいる智洋を見つめたら

一瞬だけ、目が合ったような気がする。

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