34話 ページ35
…
流星「なんか今日、変や。」
「え？」
いつもの空き教室で
寝転がりながら私を後ろから抱きしめる流星が不満そうに言った。
流星「ぼーっとしてるし俺の話聞いとらんし。なんかあった？」
流星の心配そうな声色に
思わず笑いそうになる。
今までは私の心配なんかするような人じゃなかったのに
この関係が始まってから、流星は私に優しくなった気がする。
鬱陶しくてうざくて、何を考えているのかわからない私の敵、だったのに
今では私の中でそんな存在から少し格上げされた。
それは私たちが似た者同士、だから。
相手の気持ちが
手に取るようにわかるから。
少し前までとは大違い。
今なら流星の気持ちが全てわかるような気がする。
「別に、何もないよ」
流星「ふぅん…」
原因はきっと、照史のせい。
昨日聞いたあの話が
頭の中をぐるぐる、私を苦しめる。
流星「A、こっち向いて。」
そう言われ彼の方に向き直ると
艶っぽい表情で私を見下ろして
だんだんとその距離を近付けてくるから
素直に目を閉じ
やって来る甘いご褒美を待ちわびていると…
「待って、のんちゃん！」
廊下から聞こえたその声に
私たちの動きはピタリと止まった。
望「何？こんなとこまで呼び出して。はよ行かな授業始まんで。」
意外と真面目な望らしいその言葉に
相手は……
由紀「うん、ごめん。この辺来てみたかってん。呼び出してごめんな…？」
え、由紀…？
望「ええけど。ここから教室まで遠いからはよ行くで。」
由紀「あ、うん…えっと、あのさのんちゃん！」
望「何？」
由紀「今度の日曜…空いてへんかな？」
声だけでもわかる。
きっと今由紀は顔を真っ赤にして俯いて
“オンナノコ”の顔してる。
望「日曜？…空いてるけど、なんで？」
由紀「あ、えっと…友達！もうすぐ男友達の誕生日で…何プレゼントしたらええかわからんから、付いて来てほしいなぁって…」
そんな、バレバレな嘘。
なのに望はさ、
望「あぁ、ええよ。今週の日曜な。」
由紀「うっ、うん！」
あーぁ、つまんないの。
流星「なーにむすっとしてるん。」
流星に頬をつんつんされるけど、そんなの知らんぷり。
なぜか反応する気も起きないくらい苛つく。
流星「じゃ、日曜俺らも付いて行くか。」
「はっ！？」
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年2月21日 20時
