この恋、難攻不落につき。 (ページ26)

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25話ページ26

…

あっという間に放課後になって

今日は部活のない智洋や大毅の誘いを断って私と帰る望。

「誘い断って良かったん？」

望「ええの！Aと帰るのが最優先！」

そう言って上機嫌で私の手を握る望。

そんなところが、可愛いなぁなんて思ったりして。

一緒に帰ることなんてよくあるのに

あ、でも2人きりは久しぶりかも。

だけどうちのマンションは割と学校から近いので

すぐに着いてしまって。

「…着いたよ？」

なかなか動こうとしない望に声をかけると

望「まだ…一緒にいたい。」

なんて、子犬のような目で見つめてくるから

可愛くて思わず頭を撫でると

望「もー！Aはいっつも俺を子供扱いする！」

ぷにぷにのほっぺを膨らませて怒ってしまった。

「してへんよ。」

その姿が微笑ましくて頬が緩む。

まだ拗ねてる望に

「じゃあ、望はどうしたいん…？」

と耳元で呟くと

顔を真っ赤にさせながら

望「あそこの公園…寄り道せん？」

と、近くに見える公園を指差す。

だけど…

「ごめんなぁ、今日夕飯の当番やから早めに帰らなあかんねん。」

わかりやすく落ち込んだ表情になる望に

「だから、家来る？」

と呟けば

望「い、行く…」

耳まで真っ赤に染めて俯く。

あ、けど今日サッカー部休みやし

照史来てるかもなぁなんて思いながら

望には言わないでおく。

だってその方が面白いやろ？

マンションに入ると、ちょうど凛ちゃんがエレベーターから降りてきて。

今からコンビニに行くらしく片手に財布だけ持っている。

凛「のんちゃん久しぶりー！またデカなったなぁ」

望「凛ちゃんも、また美人になったやん」

なんていつものノリで騒いでいたら、

凛「…あ、」

凛ちゃんが突然静かになるから、視線の先を辿ると…

「流星…と、知宙…」

そっか、バスケ部も今日は休みだったっけ…。

流星「…凛。」

流星は私たちなんか見えてないかのように凛ちゃんの前までやって来る。

私は流星と知宙って一緒に帰ったりするんだ、なんて

関係のないことを考えていて。

流星「今度の大会…来ないん？」

凛「…。」

何も言わない凛ちゃんに、流星がため息をつく。

流星「俺は、凛に…来て欲しい。」

何となく、泣きそうな表情に見える流星を見て

さっきの疑惑が確信に変わった。

流星のこんな顔、見たことない…。

そう思った途端、無意識のうちにニヤついていた。

…