この恋、難攻不落につき。 (ページ4)

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3話ページ4

…

その人のことを見ていれば

大体は好きな人がわかる。

だけどそれには例外もあって。

例えば………

ガラッ！！

偶然通りかかった空き教室から出てきたのは

見知った顔で。

「知宙…？」

私の存在を知ると、いつものポーカーフェイスを崩し焦ったように駆けて行く。

彼女が出て来た空き教室を見つめ

好奇心に負け、そのドアを開いた。

中には使われなくなった古びたソファーが何個か置いてあって。

そのうちの一つに寝転がっている彼。

「あぁ、そういうこと。」

そう呟けば

ばっとこっちを振り返ったその瞳と目が合って。

流星「っ…、A…」

彼のはだけたシャツを見て悟った。

そういえばさっきの彼女もやけに着崩れていた気がする。

「こんなところで、何して遊んでたん？」

至って冷静に

面白がっていることを悟られないように

相手を追い詰めながら

ソファーに仰向けになったままの流星に近づき顔を寄せる。

流星「何って…楽しいこと？」

だけど相手の方が上手だった。

悪びれる様子もなく

ニヤついて私を見つめる彼は

私と同じ。

いや、私より酷いかもしれない。

だって彼が泣かせた女の子は後を絶たない。

彼は自分の幼馴染みである知宙のことも

無意識のうちに自分の欲を満たす対象として見ていたのだ。

私だって同じようなもの。

好きな人に振り向いてもらえないモヤモヤを

幼馴染みである望が私を好きでいてくれることで晴らそうとしている。

他の男子とは違うのに

もっともっと近くて、

簡単に壊してはいけないのに。

無意識のうちに、彼をそんな道具として見ていたことに少し嫌気がさした。

流星「なぁ、何考えてるん？」

流星が私の首に腕を回し

ぐっと引き寄せる。

流星「他のコはすぐわかるのに。あの知宙でさえ、操ることなんか簡単やのに。Aはいつも、何考えとるのかわからんな…」

彼は私を面白がっている。

他のコとは違う私を、手に入れたいと

全てを自分のものにしたいと

そういうところも私とよく似ている。

これ以上近づいたら、危険だと思った。

今まで幼馴染みとして保ってきたこの距離を

他の人と同じように近づいてしまったら

もう……

「あんまり女の子泣かせたらあかんで。」

そう言って彼から距離を取る。

だけどそんなの

彼が私に興味を持ち始めた時点で

もう手遅れだったんだ。

…