14話 ページ15
…
智洋「…A？」
隣のクラスには智洋と知宙がいて。
流星はまだどこかをほっつき歩いてるんだろうな、なんて
混乱する頭の中で考えていた。
「これ…」
智洋「え？」
ダメだ、言葉を発しようとすると涙が出てきそう。
知宙はそんな私にお構いなく、私に目もくれず
黙々とお弁当を食べている。
だけど、次の瞬間
その冷ややかな目が私を捉えて
一瞬、ポーカーフェイスが崩れて驚いた表情をした。
え、なんでそんな顔したの…？
そう思ったのも束の間
智洋「ちょ、A！？どしたん、どっか痛い？保健室行く？」
目の前で慌てだした智洋を見て気づいた。
私…泣いてるんだ
そっと自分の頬を触ると、しっかり濡れていた。
智洋「なぁ、A…なんで泣いてるんよ」
そのうち、智洋まで泣きそうな声で心配そうに私の顔を覗き込むから
何か言わなきゃって
そう思って。
でも………
「これ、ともにあげる…だって好きやろ？」
言葉を発するたび溢れ出てくる涙に
自分でも戸惑う。
だってバカみたいじゃない。
彼は智洋に嫉妬してくれてると思ってたのに
むしろ智洋のことを応援してたなんて…
彼の口から直接私と智洋をくっつけようとする言葉が出たんだと思うと
もう涙が止まらなかった。
私のことを好きになってくれなくてもいい。
由紀のことが好きでもいい。
だけど…
他の人と私の恋を応援するなんて
そんなことして欲しくなかった。
智洋といる時に向けてくれたあの視線が
嫉妬じゃなくて、応援の眼差しだったなんて
そんなの信じたくない。
「なんでっ…よぉ……」
智洋「A……」
泣き崩れる私を
智洋が抱きとめてくれる。
私は我を忘れて教室のど真ん中で智洋の腕の中で泣き続けた。
そうして………
私が泣きながら智洋に告白したという噂が
瞬く間に全校生徒に広まっていった。
それを聞いて貴方がどう思ったかなんて
もう今の私には考えられなかった。
流星にもらったチョコメロンパンが
虚しく智洋の机の下に転がっていた。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年2月21日 20時
