この恋、難攻不落につき。3 (ページ6)

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103話ページ6

…

全ての試合が終わりみんな帰り支度をする。

望や大毅たちにとても話しかけられる雰囲気じゃないとわかった女子たちは、そそくさと帰って行った。

大毅や望はもうボロボロに泣いていて

すかさず愛美ちゃんと由紀が2人のもとに駆け寄り慰める。

聖菜ちゃんも、マネージャーとしてみんなを見守ってきて自分も悔しいはずなのに

一生懸命智洋に励ましの言葉をかける。

“ともくんには来年もあるんやから”って……

だけど、そしたら照史は……？

照史「負けてもーたわ！笑」

悔しそうに歪んだ顔で

無理やり笑顔を作って戻ってきた照史。

淳太や崇兄によくやった、って声をかけられても

絶対に泣かなかった。

いつもなら、淳太の顔見たらすぐ泣いちゃうくせに…。

そのままみんなが落ち着くまで応援席に座ったままだったけど

淳太「…そろそろ帰るか。」

淳太の一言で、みんな立ち上がった。

気づけばもう夕方で

グラウンドには誰もいなくなっていた。

愛美ちゃんや由紀、聖菜ちゃんは大毅たちに付きっきりで

私の入る隙間もない。

照史「ごめ、俺もうちょっとしたら帰るわ。先行っといて。」

少し一人になりたいんだろう、淳太もすぐ納得して照史を置いて先に行ってしまった。

流星「A？何ぼーっとしてん、帰るで。」

流星にそう言われたけど、私はみんなとは逆方向に歩き始めた。

流星「A？」

「ごめん、トイレ行きたいから先行っといて！」

向かったのは、自販機。

迷わず見慣れた炭酸飲料のボタンを押す。

グラウンドに戻ると、やっぱりそこには照史がいて。

誰もいなくなったコートの真ん中で寝そべっていた。

近くまで行けば、夕日に照らされて涙がキラキラ光っていて。

照史「……なんで、」

「どーせ1人で泣いてるんかな、と思って。」

彼の好きな炭酸飲料を額に当てれば、冷たっ！と顔を歪ませる。

こんな時、落ち込んでいる人を1人にしたくないと思ってしまうのは

自分がこういう時誰かにそばにいて欲しいから。

それが相手にとって迷惑だったりする時もあるけど

照史は泣き虫で寂しがりやだもん。

きっと誰かにそばにいて欲しかったはず。

照史「最後、やったのになぁ……呆気なく終わってもうた。」

彼の目から零れ落ちる涙を

初めて美しいと思った。

…