この恋、難攻不落につき。3 (ページ45)

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142話ページ45

…

2人の言葉にはてなマークを浮かべる私の目の前に差し出されたのは

今までのものと比べ物にならないくらい立派な、キラキラとした豪華なドレス。

「これも、実は演劇部の子達と協力して作ってん！」

「私らこういうの作るの大好きでさ〜。実は劇をすることに決まった時、白雪姫のドレスは絶対自分たちで作りたいって思ってたんよ！」

上手くできてよかったな～、って

キラキラと笑う彼女たちが眩しくて。

何より着てみるとそのドレスが自分にぴったりで。

何度も彼女たちにサイズを測らせてくれと頼まれた日のことを思い出した。

まさかこんなにすごいドレスを作ってくれているなんて知らなくて、ただ面倒くさいと思っていた自分が恥ずかしい。

ただの高校生の文化祭の衣装として着るにはもったいないような

ちゃんとふわふわと揺れ動く綺麗なドレスに胸がいっぱいになる。

「…2人とも、ありがとう。」

私の言葉に、嬉しそうに微笑んで

“本番、絶対成功させような”って意気込む2人。

なんだか私もさっきまでなかったはずのやる気が出てきた。

ジャーーーーーーン！と効果音付きで仕切りの前に引っ張られた私は

意図せず望、由紀、大毅の3人と対面させられることになって。

咄嗟に、顔を見ないように視線を背けた。

途端に、わぁっと騒がしくなる教室内。

望たちのところにいた女子たちが一斉に駆け寄ってくる。

「Aちゃん、すっごく綺麗…」

「びっくりしたーーー！ほんまのお姫様みたい！」

「てか、このドレス作ったんよな？すごすぎるっ！！」

みんな口々にきれい、すごいと連呼していて

なんだかちょっぴり恥ずかしい。

ドレスを作った張本人たちはどこか誇らしげで。

その時、別で作業をしていた大道具係の男子たちが教室に入ってきた。

「中間、ちょっと1回この中入ってみてくれへんか？」

私の目の前に置かれたのは大きな棺。

いつ使う道具だっけ？と首を傾げると

ほら、と監督である演劇部の山田くんが近づいてきた。

山田「一番重要なシーンで使うやろ？キスシーンで。」

「キッ！？」

びっくりして、思わず望の顔を見つめると

言葉の意味を理解したあと、みるみるうちに顔が赤らんでいって

耳まで真っ赤にしながら口に手の甲を押し当てて俯いた。

…あぁ、どうしてこんなに大切なこと忘れていたんだろう。

…