この恋、難攻不落につき。3 (ページ42)

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139話ページ42

Daiki side

“大毅が止めるんなら、OKしない

………待ってる、から”

Aの声が頭にこびりついて離れない。

頭をぐしゃぐしゃと掻きむしっても

授業の内容なんて入ってくるわけなくて。

ちら、とAの席を見つめる

席替えをして斜め前になったばかりのAの席を。

授業が始まって20分

未だに空っぽの彼女の席。

別にあいつが誰と付き合おうと、誰に告白されようと

そんなの知ったこっちゃない。

今までもそうやって無視してきただろ

今更、なんだよ？

そう、自分に言い聞かせるのに

なんでこんなに胸が騒ぐんだ。

俺の気持ちを全部照史から聞いたって

そんな衝撃的な話よりも

なんでどこの誰かも知らんやつに告白されたことの方がこんなに辛いんや？

OKするって？

今まで誰にもしてこなかったくせに

…智洋じゃなく

全然別の男と付き合うって？

何考えてんねん、アホ

なんでそんなこと俺に言うねん

アホやろ、ほんま

これ以上振り回さないでくれ………。

智洋、だから

だから今まで耐えられたのに

…なんで？

なんで智洋じゃない男と？

だけど今の俺には

そんなことあいつに言う資格なんてない。

あんな風にAを傷つけた俺には

もう、目を合わせる資格すらないのに…。

俺が止めるんなら、OKしない

その言葉が何度も何度も頭をぐるぐる回る。

「あ゛ぁ、クソッ……！！」

先生「…おい、重岡っ！」

走る走る

全速力で、Aの元へ

長い間押し殺してきた

自分の正直な気持ちに、今

真正面からぶつかりながら。

いやだ。

嫌だ嫌だ嫌だ。

そんな、知らん奴の告白なんかOKすんな

誰とも、付き合わないでくれ

頼むから………

俺がお前のこと好きなの、知ってるくせに

「Aっ……！」

ようやく見つけた、2つの影。

さっきまで俺といた、屋上へと続く長い階段の1番上

愛しい君は、知らない男の手を引き

そっと、唇を重ねた。

…もう、遅かったんだ

自分の気持ちに正直になるのも

Aを失う覚悟をするのも

口づけを交わす男の背中越しに

一瞬、彼女と目が合ったような気がした。

なぁ、A

あの時、もう少し早く俺がお前を見つけていたら

そしたら今頃、どうなってたんかな。

…