この恋、難攻不落につき。3 (ページ41)

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138話ページ41

…

西側の、屋上まで続く人気のない階段を登りきって、最上階でようやく彼の手を離した。

「…照史から、全部聞いた。」

さっきから無言の大毅は、依然として口を開こうとしない。

それどころか、ずっと足元ばかり見つめて目も合わせてくれない。

「っ、大毅が私を好きだったこと、全部聞いたっ…！」

目を合わせて欲しくて

その表情を読み取りたくて

そう詰め寄っても、顔を上げない大毅。

「さっき…告白されてん。」

一瞬、ぴくっと震えた指先を

見逃さなかった。

これは賭けだった。

最後の賭け。

智洋や、他のもの全て捨ててでも…

私のところに来て欲しくて

大毅に与えた、最後のチャンスだった。

「…OKしようと思う。」

…いま、大毅はどんな顔してるんやろ？

「今から、告白の返事してくる。」

今すぐ言って欲しいのに

貴方の口から

行くなって………。

「だけど、大毅が……………

大毅が止めるんなら、OKしない。」

私が涙ぐんでも

顔を上げてくれないんだね。

悪かったって

あんなの、全部嘘やから

だからそいつのとこになんか行くな、って

ただ、そう言って欲しいだけなのに…。

「………待ってる、から。」

結局最後まで、大毅が私を見てくれることはなかった。

G組に向かって佐藤くんを呼び出す。

照れ臭そうに俯いて

頬を紅く染めた佐藤くんを

さっきまで大毅といた場所に連れ出す。

チャイムはもうとっくに鳴っていて

午後の授業が始まっているのに

佐藤くんは戻ろうとしなかった。

「…急に呼び出して、ごめんな。」

1分1秒でも長く

大毅が来てくれることを信じて。

「さっきの、告白の返事しようと思って……」

早く

お願い、大毅

早く来て

「その、私…………」

私が言い終わってしまう

その前に。

「っ、…」

佐藤「…わかってるから、大丈夫やで」

言葉に詰まって上手く話せない私に、佐藤くんが穏やかに微笑む。

佐藤「フラれることわかってて告白したから。…そんなに、言いづらそうにしなくて大丈夫やから。」

ちゃんと、断ってくれてありがとう

そう言って

少し涙目に見える彼が立ち去ろうとする。

「っ違う！…そうやなくて、」

……これ以上引き延ばすのは、無理だよ大毅

私は、咄嗟に立ち去ろうとする彼の腕を掴み

引き寄せた。

…