102話 ページ5
…
午後の試合が始まった。
うちの高校の観客もさっきより増えたような気がする。
「きゃー！！しげがんばってーー！」
「望くんファイトーー♡♡」
「神ちゃんシュート決めてーーー！！」
「桐山ー！いけーーー！！」
しかもほとんどが女子っていう…。
午後の試合の相手はかなりの強豪校で
優勝の常連校らしい。
けどさっきの勢いのままいったら
もしかして勝っちゃうんじゃ…？
なんてみんなが期待してた。
前半はうちの学校がかなり点数を入れたけど、後半が始まってすぐに追いつかれてしまった。
休憩をはさんで、向こうも作戦を練ってきたらしい。
前半に比べて勢いがすごい相手に、みんなが苛立ってきてるのがわかる。
さすが、強豪校……
そう簡単には勝たせてくれないか。
なかなか思うようにいかなくて
望や大毅がイライラしているのがわかる。
それをキャプテンの照史が落ち着かせようとして…。
智洋は、冷静に全体を見て判断して
さっきからいいパスをたくさん出してるけど
うまくシュートに繋げない。
残り時間もわずか。
さすがの照史にも焦りが見え始める。
由紀「のんちゃんっ…！」
崇裕「照史諦めんなーー！！」
隣の由紀と崇兄も祈るように声を上げる。
絶対、勝てる…
そう信じてるよ
「大毅っ、がんばれ！！」
試合終了間際
大毅が勢いよく蹴ったボールは
惜しくも、ゴールの縁に当たり
外へ弾かれた。
その時、
ピーーーー！
試合終了のホイッスルが鳴った。
終わっ、た……
誰もが肩を落とした。
由紀や崇兄は泣き出して
淳太や凛ちゃんはよくやった、と拍手した。
大毅…、
大丈夫かな。
試合を終えてベンチに戻って行く選手たち。
遠くからでも大毅が泣いているのがわかった。
望や智洋や聖菜ちゃんも。
みんな悔し涙を流している。
あれだけ頑張ってたもん
悔しいに決まってる。
だけど一番泣き虫のはずの照史は
ただただ耐えているように見えた。
最後までキャプテンとしてみんなを慰め、励まして…
こうして、照史の高校生活最後の試合が終わった。
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
