132話 ページ35
Akito side
本当は、もうだいぶ前からわかってた。
“中学入ってからすごいモテてて…”
そんなの、思い浮かぶのは1人しかいなくて。
「…A」
だけど、たぶん認めたくなかった。
A「あ、照史もサボり？」
だって、ほんとは俺も
Aのことが好きやったから。
あ、今はちゃうで？
昔の話。
大毅の初恋がAやったように
俺の初恋もたぶんAやった。
俺はアホみたいに
小学生の時親の再婚でこのマンションに引っ越してきた淳太くんとAに、一目見た時から恋をしていた。
あ、てことは俺の初恋は
淳太くんでもあるんかな。
…なんて俺の話はどうでも良くて。
A「なぁ聞いて、今日体育の時大毅が____」
Aと一緒に授業をサボると
よく大毅の話を聞かされた。
まぁ、見てればすぐにわかった。
なんや、こいつら両想いか。
Aは中学に上がってから誰もがわかるほど大人びた。
急にモテだしたのも、そのせいか。
その歳に似合わないほど整った容姿だけじゃなく
なんていうかAには、昔から男を魅了するような不思議な魅力があった。
時間が経てば
いずれ、そうなるんかな。
だって両想いなわけやし。
ぼんやり
なんとなーく、そう思ってるだけで
2人に何か助言したり、背中を押したりなんてことは一切しなかった。
ほんまにただの傍観者として2人を見ていただけ。
そのうち、気づけば中3になっていて
特に進展もなくほったらかしていた彼女からとうとう別れを切り出された。
悲しくはなかった。
情すら移ってなかった。
毎日、些細なことで一喜一憂する大毅を見て
ちょっとは、自分もそういう感情を知りたいと思ったけど
無理やったみたいや。
「…なぁ、告白せんの？」
いつだったか
痺れを切らして、1度だけ聞いたことがある。
大毅「…せやな」
毎年、みんなで行く地元の花火大会の日
とうとう告白すると
大毅はまた、あの時みたいに耳を真っ赤にさせて言った。
…告白、するんかぁ
自分で言っといて
なんでこんな気持ちになるんやろ？
ずっとモヤモヤしたまま
頭も、心も
いつも一緒にいた淳太くんに本気で心配されるほど
花火大会までの1週間、俺はずっと抜け殻やったらしい。
だけど結局
その日、大毅は告白しなかった。
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
