130話 ページ33
Akito side
遠い昔の記憶
あの年のことを思い出す。
たしかあれは俺が中2の頃やった。
初めて彼女ができた。
今考えても、告白されたのはあの時の1回きり。
相手はいつもつるんでたような騒がしいグループにいた子じゃなくて
大人しくて、真面目そうで、なんで俺なんかのこと好きになってくれたのか今でもわからんくらい。
思春期真っ只中
好きとか、そーゆーの1番恥ずかしかった時期。
なのに俺は、なぜかその告白をOKした。
たぶん、いつものメンバーの中で一番最初に彼女ができたのを自慢したかったとか、そういう理由やったと思う。
だってその子とは1年の時1回隣の席になったくらいで
ほんまに話したこともなかったから。
だけど付き合ってから1度も、恋人らしいことはしてあげられへんかった。
自分自身彼女がおる友達のこと1番いじくり倒して遊んでるような奴やったし。
そんな俺にほんまは彼女がおるなんて
誰も知らなかったと思う。
なんか小っ恥ずかしくて、淳太くんにも言われへんかった。
彼女は美術部で
毎日、運動部の中でも1番終わるのが遅かったサッカー部の俺のことを待っていてくれた。
誰にも見られないように
裏門から出て、自分とは反対方向の彼女の家まで送る
ただ、それだけ。
帰り道言葉を交わしたのも数回くらい。
それでも彼女は俺と付き合ってくれた。
ある日
いつものように部活終わり彼女と帰るところを、大毅に見られた。
よりにもよってあの大毅に。
あぁ、相当いじられるやろうな
あいつほんっま口軽いから
明日には全校生徒に広まってるかも
そんな憂鬱な気分で部活に行くと、大毅が真剣な顔で俺を待っていた。
大毅「聞きたいこと、あんねんけど…今日照史ん家行ってもええ？」
新しく1年生として同じ中学に入ってきた大毅は
まだ背も小さくて、声も高くて、垢抜け前の
今とは大違いな見た目のただの騒がしいガキやった。
恋、とかそんなの
1ミリも興味持たずに生きてきたような…
それなのに
部活終わり、久しぶりに俺の家にやって来た大毅は
普段の大毅からは考えられへんくらい真剣な眼差しで言った。
大毅「彼女って…どうやって作るん？」
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
