この恋、難攻不落につき。3 (ページ30)

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127話ページ30

…

母「Aー、」

母に呼ばれて、寝転がっていたソファから少し顔を上げる。

母「あんたいつになったら向こう戻るの？」

頭に隕石が落ちてきたあの日から

私は逃げるように仕事で関東に住む母の元にやって来た。

…何も考えたくない

何もしたくない

まるで無気力症候群のような生活。

夏休みの間は、母も喜んで私を受け入れてくれたけど

カレンダーはもう9月の半ばを示していた。

母「学校退学になったら、承知しないからね。」

あまりにも私が無気力すぎて

最初は母も色々と心配してくれたり

こっちの高校に転校するか、なんて提案もしてくれたけど

何にも反応しない私に嫌気がさしたのか

最近は小言ばかり言ってくる。

………わかってる。このままじゃだめなこと。

出席を淳太にどうにかしてもらおうなんて、そんな甘いこと言ってられないことも。

…だけど、帰りたくない。

大毅に、もう、二度と会えない。

…会いたく、ない。

結果を知っていたくせに

踏み込んだのは私、だけど

想像を遥かに超える衝撃だった。

流星は、すごいなぁ

凛ちゃんに告白した時

私みたいに逃げたりしなかったもん。

あの日

凛ちゃんにフラれた流星が

崇兄たちと喧嘩したり、私にボールをぶつけてきたのなんて

今の私に比べたらすごくちっぽけな出来事に思える。

…流星は、すごいよ

こんなに死ぬほど辛い痛みを味わったのに

大好きな人と、結ばれたんだもん。

今の私は毎日死にたくてたまらない。

そのくらい、胸が苦しくて、痛くて、息ができなくて

生きてる意味も、わかんないくらい。

…流星に、会いたい

会ってこの痛みを分かち合いたい

きっと理解してくれるのは流星だけだから。

_______プルルルルル

突然目の前のテーブルに置いてあった固定電話が鳴る。

家主であるお母さんはさっき仕事に出かけてしまった。

なぜだかわからないけど、

この電話に出なくちゃいけないような気がした。

ガチャ

『…もしもし』

「っ…」

『…A？』

少し、怖かった。

だって電話の向こうの相手が

今1番会いたかった、流星だったから。

…