126話 ページ29
…
フラれることなんて、私が一番よくわかっていた。
だから、この感情に名前がついたその瞬間から
絶対に本人には言うつもりなんてなかったのに。
私のために、関わるのも面倒くさかったはずの彼女の言いなりになんてなるから
ほんとなら、あんなわがままな後輩の言うことなんて聞く人じゃないのに
好き嫌いの激しい大毅が、渋々あの子の相手をしてあげていたのがずっと疑問だった。
あんなにはっきりと断ったのに
なんでまだ彼女の言うことを聞くの、って
一体どんな弱みを握られてるの、って…
だけど、その弱みが
まさか、私だったなんて。
本当に私のことが嫌いなら
あんな脅し、大毅が素直に聞くわけない。
だから、つい
考えてしまったんだ。
…もしかしたら、まだ、私にもチャンスがあるのかもしれないって。
だけど、大毅は………
隣で俯きながら私の告白を聞いていた大毅。
前髪に隠れて、その表情は読み取れない。
しばらくして、ぱっと顔を上げた彼は、
…………今までで一番、冷たい表情で私を見下ろした。
大毅「迷惑やねん。」
「………え？」
大毅「お前のこと、そんなふうに思ったこと、
……………1度もない。」
普段一緒にいても
1度も聞いたことがない
ドスの効いた低い声。
大毅「なに勘違いしたんか知らんけど」
面倒くさそうにため息をついて、どうでもよさそうな目で私を見る。
…ううん、目は合ってるのに
私のことなんて見ていない。
大毅「迷惑やから、二度と言うな。」
ドーーーン、と
今日一番大きく鳴った体中に響くその音が
さらに私の心臓を締め付けた。
･
淳太「ごめっ、遅くなったっ…！
……………あれ、Aは？」
大毅「…………帰った」
淳太「はっ？なんでっ！？
お前、1人で帰したん？」
大毅「……………ごめん」
今年の花火大会は
私の頭の中に隕石が落ちてきて終わった
最悪な1日だった。
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
