この恋、難攻不落につき。3 (ページ26)

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123話ページ26

…

「なぁ、あれええの？大毅先輩」

後ろから聞こえてきたその声に

大毅に必死に追いつこうとしていた足がピタリと止まる。

「普通にあの人に話しかけてたやん」

「愛美があんだけ脅したのに」

周りはザワザワとうるさいのに

なんでか、私にはその会話がはっきりと聞こえてきて。

ちら、と声がした方に顔を向けると

愛美ちゃんと一緒にいた女の子たちが不服そうに大毅のことを目で追っていた。

愛美「…」

「愛美のこと振るなら、条件があるって」

「A先輩に少しでも話しかけたり目合わしたりしたらあかんって」

「約束破ったら、大毅先輩の大事な大事なA先輩のこと…傷つけて、関係壊してやるってまで言ったのに……」

愛美「うるさい。」

冷ややかに、低く響いた愛美ちゃんの声に

なぜだか背中がビクッと震える。

愛美「誰かに聞かれてたらどないすんの。」

彼女の気迫に、ごめん…と友達たちが俯くと

はよいこ、とそのまま人混みの中へ消えていった。

「…っ」

なに、今の

あの子たちが言ってたこと

本当なの？

震えが止まらない

愛美ちゃんに告白されたあと

振ったはずなのになぜか彼女のことを気にしながら私を避けていた大毅を思い出す。

いつも困ったように

面倒くさそうに

だけど機嫌を損ねないように

愛美ちゃんに接していた大毅。

全部全部…

私のため、に？

「だい、きっ…」

突然溢れ出した感情は止まることを知らなくて

人混みの中、口元を押えて必死に嗚咽を押し殺そうとする。

_____ブーッブーッブーッ

どこからかスマホのバイブの振動が伝わってきて

震える手で鞄から取り出すと、望からの着信。

なんとか声を押し殺し電話に出ようとした、瞬間

「…う、そ」

画面が真っ暗になった。

どうやら充電が切れてしまったようだ。

…はぐれて、しまった

「うっ…ﾋｯｸ…ふ、…だいきっ」

大毅に、会いたい。

…どのくらい、経っただろう

どうにかこの感情を落ち着かせようと人混みの中、道のど真ん中で立ち尽くしていたら

大毅「っ、…アホ！」

息を切らして、額に汗を浮かべた愛しい人に

…まんまと、捕まってしまった。

…